HorliX カスタマイズ案件

HorliX は、AppStore から撤退を余儀なくされたわけだが、やはりというべきか、直接問い合わせ・カスタマイズが増えるようになってきた。
先日、某医療系団体からこんな問い合わせがあった。一部掲載。


メールにてもうちょっと詳細な技術的な回答をおこなったが、ここでも軽く解説しておくと…

シネマティックレンダリング→おそらく無理です。シネマティックレンダリングは、確か、複数の光源を設置し、その反射光をかなりのレベルまで計算させないと(有名メーカーがおこなっているようなレベルの)奇麗な画像は得られないと思います。現行のアルゴリズムを少々いじった程度ではでは難しい。

(ボクセルなどの)独自計算アノテーション→領域が確定したボクセルを数え上げるのは、さほど難しくない。問題は、数え上げたい領域をセグメントすることで、プラグイン作成の難易度は、領域を確定させるアルゴリズムによると思う。可能なものであれば前向きに取り組みたい。

こういう質疑応答はなんかいいですね。

3D プリンターの医療への応用 -冠動脈を3Dプリント-

まだ、HorliX とは直接関係ないのですが、「医療画像の 3D プリントを…ごにょごにょ…」と言われる機会が多くなってきたので、試みにある臓器を 3D プリントしてみました。
今回、試したのは、心臓を栄養する血管、冠動脈(coronary artery)です。
心臓自体は絶えず拍動しているわけですから、常に酸素・栄養の供給を受ける必要があります。左室から出た血液は大動脈に駆出され、各臓器に運ばれますが、その起始部のバルサルバ洞という部位から冠動脈は直接分岐します。
なお、この血管が狭くなったり、痙攣したり…で血流量が減った病態が狭心症です。血栓などで詰まった場合、そこから先の血流が途絶えるわけですから、心筋が壊死します。これが心筋梗塞です。また、冠動脈にプラークなどが形成され、ゆっくり(=慢性的に)狭小化が進み、ついには完全に閉塞した状態を、慢性完全閉塞といいます。こうなると治療はなかなか大変。

実体3次元モデル作製当初は、アイキャッチ画像のように一部(この場合は右冠動脈)が脱落したのですが、だんだんコツが掴めてきて、最終的には、冠動脈を脱落させることなく造形させることができました。


予算の関係で、かなり安い3Dプリンターと材料を使ったのですが、意外に使えるかなという印象です。

読影レポ未読スルー問題を考える

読影レポ未読スルー問題、つまり、放射線科医が記載する画像診断書の確認不足に関する医療事故云々の問題に関して、実はあまり詳しくなかった。具体的な例を探すと、これが見つかった。

横浜市立大学付属病院における、コンピュータ断層撮影(CT)の検査結果情報の共有不足により癌の適切な治療を逸した医療事故について

確かに、心房細動を対象にしていて腎細胞癌までなかなか頭が回らないだろうとは思った。最近、これらの事故が相次ぎ、これを受けて日本医学放射線学会は 7/19 に見解を発表した。

そこには、取り組むべき課題として様々な解決策が提言されているが、私の立場では、この文言が刺さった。

 

画像診断報告書を必ずチェックする仕組みを電子カルテあるいはPACS上で構築することが求められます。

 

チェックする仕組みを電子カルテあるいはPACS上で構築ですか?

ちょうど HorliX-Ocean の連携の構想を練っていた時期でもあり、この問題もちょっと考えてみる。

ref: PACS との連携機能など

 

学会見解では、英国 RCR にならって「主治医側に的確に伝えるべき画像所見」を以下の三つに分類している。

① Critical findings (危機的な所見)
② Urgent findings (24時間以内に緊急を要する所見)
③ Significant unexpected findings (患者にとって重要で、かつ主治医が予期していないような所見)

そして、③による確認不足がおきやすい事実を指摘している。そのため、「これらの画像所見を診断した際には、ルーチンの報告手段、すなわち電子カルテへの記載等による方法を補完する手段を用いる」ことも考えてみるべきだ、としている。

なるほど、これでも良いと思うのだが、①〜③の所見を見つけた際には RIS (Radiology Information System。放射線科情報システム) から主治医電子カルテに通知する連携機能を仕込んではどうだろうかと私なんかは思う。

HorliX-Ocean の系の場合、これは比較的簡単に実装できるように思う。まず、放射線科医がレポートを作成し終わった時点で以下のようにアラートウィンドウを表示させる。

そして、①〜④のどれかを選択しない限りはレポート作成が終了できないようにする

このとき、①〜③の所見があった際には、HorliX は Ocean に対して LAN を介してアラート信号を送る。Ocean はこの信号を受け取った際には、その待ち受け画面をこのように表示させる。(Ocean は入院対応にはなっていないのであくまで例えだが)

このような構成ならば、放射線科医が ③予測し難いが重要な所見 を見つけた際には、その事実は少なくとも治療スタッフの誰かには必ず伝わるはずだと思うのだが、いかがだろう?

 

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