東京医大の件
東京医大の裏口入学の一件が世間を騒がせているようだが、関係者の間ではこの事態はある程度は予想されていたように思う。
というのは、東京医大はどういうわけかその経営基盤が弱いようで、講師あたりをしている知り合いなども「お金なくて研究ができないんです」とよくこぼしていた。そこからくる拝金主義はどこかで破綻するだろうという予感を抱いていた人は多かったと思う。
私学医学部の経営事情一般に関してコメントするほど私はこの分野に詳しくはないが、こと東京医大で関係者の不信をかっていたと思うのは、臨床教授や臨床准教授という存在。
世間一般では「教授」や「大学の先生」というと研究業績もあってその分野の権威である偉い人とみなされていると思うが、医療関係者の間では「臨床教授」はそこまで評価は高くない。研究志向が強く、長くその教室で頑張っているが、教授になるほどの業績は上げられず、かといって単なる医員扱いするには忍びない…といった先生に与えられる通りのいい肩書きといった位置付けだろう。
もちろん、この特徴、つまり研究もある程度できて、臨床もできる、という特徴を活かして臨床教育などに立派に貢献されている尊敬すべき先生も数多くいることを私は知っている。
なのだが、こと東京医大となると…
なんで業績もほとんどないあんたが臨床准教授とかやってんねん !
とツッコミ入れたくなるような人を教員にしていた。具体的には、それまで研究のケの字もしたこともないような私立病院の院長だとか理事長とかですね。その私立病院が教育的な病院ならわからなくもないのだが、ガチ経営重視のところだったりする。病院経営者のご子息の多い私立だからそれでもいいと言われれば元も子もないのだが、それであれば非常勤講師あたりの肩書きで留めておくのが良識というものだろう。
ここらへん、事情通からみたら「あ、あの院長、金で肩書きを手に入れたね」とわかると思うのだが、世間一般の人はなかなかそうもいかないだろう。
この騒動がどこまで広がるか私は予想もできないが、願わくば騒動後のこの大学(とその関連病院)の体制が健全化してくれるといいと思う。
→ 大学病院自体のその後は、まあまあといったところなんだろうが、当時ここに群がった人々がいまだにおかしなことをしているようだ。
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ここで言及された病院の理事長は、その当時、外来教授かなにかやってたな、確か。どうしようもなくダメだと思ったのは、ほとんど関係ない斉藤環先生に訴訟を起こしたこと。
ブログ記事とマネタイズ
ところで話はガラッと変わるが、私はこれまで各種メディアに記事一本いくらみたいな感じで雑文を提供していたが(これは私に限ったことではなく多くの医師がアルバイト感覚でやっていると思う)、こちらでブログを持たせてもらうにあたって執筆料の代わりにアドセンスによる広告料収入を選んだ。
連載当初などは1日0円なんて日が多く、正直、選択をあやまったかなと思わないでもなかったが、関係者が SEO (Search Engine Optimization 検索エンジン最適化。この言葉もこちらに来て初めて知った。現在勉強中)などを頑張ってくれたおかげか最近はアクセス数も増加し、それなりに収益が上がってきた。
まだまだ最終的な判断を下すには時期尚早だと思うが、「コンテンツを権利ごと売って一時的にまとまった収入を得るのと自前で発信して長期的にマネタイズしていくのはどっちが得か?」という問題は、似たような立場にいる方なら興味あるところだと思うので、もうちょっと観察を続けてはっきりとしたことが言えるようになったら、どこかで発表したいと思う。
モジュレーター
以前に某医療機関のブログに寄稿したモジュレーター関係の記事がおかげさまで好評で、あちこちで引用された結果、現在(2018/07/25)グーグルで「モジュレーター 」で検索するとトップにくる。
この医療機関にはこれまでの記事の働きでその知名度向上に十分寄与したと思うし、今後、もうちょっとモジュレーター 関係に関して書きたいことがあるので、関係者にお願いしてモジュレーター 関係のコンテンツを引き上げさせてもらった。
記事では、パルモディアという具体的な薬剤からモジュレーター を説明していたのだが、一般的に言えば、モジュレーターの一種としてパルモディアがあるという関係だと思うので、時間をみつけて 一般的な性質に関して書きたいと思う。
特定教員
臨床教授などが大学内において、どういう位置づけなのか書いたが、最近、増えてきているのは「特任講師」やら「特定准教授」といった肩書。
これも「准教授」やら「教授」やらという呼称が使われているため、かなり立派そうに見えるし、「特別」という文言はへたしたら一般の「教授」より上の階位なのかと思ってしまう一般の人もいるかもしれない。が、全然違う。真相はむしろ逆。
単なる任期制の教員です。
寄付講座だとか特定のプロジェクトで研究やそれに付随する教員が必要な場合、終身で雇うよりは、それらの資金提供期間やプロジェクトの設定期間に合わせて専従者を雇った方が自然だ。
医学部以外だとポスドクとよく比較される。ポスドクは「研究に従事する」のが仕事で、特定教員の場合は研究はもちろん「教育」にも従事できる。
上手くやれている人もいるし、上手くやれていない人もいるが、設立由来がそういったことなので、過剰に評価する必要はないし、どちらかといえば、その間で成果を出せるかどうか試されている期間とみる方が妥当だろう。