MRI とは?-その2-

nomad
MRI の測定原理上のキモはスピンだと思いますが、まー、これがちゃんと理解しようとすると難解。
あくまで「医療者」としての理解ということでいいと思います。

 

体内の水分子は静止していれば、原子核中の陽子はプラスの電荷をもったただの球状物体すなわちボールのようなものです。しかし、自分自身がある軸を中心に回転していると考えると、回転軸を中心として円形電流が流れているようなものですから、磁場が発生します。円状に流れる電流回路に磁場が生じるのは高校物理でも習いますね。

 

それをより大きな外部磁場中に入れると陽子の回転軸は外部磁場と平行か反平行かの2つの状態を取ります。

 

 

薬子
陽子が回転すると磁石のようにN極、S極の方向ができる。それをより強力な磁場の中に入れると上向き、下向きの2つに分かれるっということでいいでしょうか?

 

それでいいと思います。普段は陽子の向きはバラバラですが、MRI 装置中の強い磁場の中に入ると上向きと下向きに分かれます。

あれこれ言ってきましたが、上向きか下向きの二つしかない状態を作り出すってのがミソです。この状態にしてから、電磁波を外部から与えて、意味のある情報を取り出そうってのが、基本的な測定原理です。
その3に続きます。

 


補足説明】歴史的にいうと、それまで点状電荷と考えられていた(=静止した点状電荷では磁場に反応しようがない)電子に磁場に反応する性質がまず見つかり、その説明のために上記のような説明が考えられました。ある軸を中心にそれ自体がくるくる回っている(自転している)と考えると都合が良いためこの性質は「スピン」と名付けられました。

その後、原子核にもスピンという性質があることがわかり、この現象に基づく測定法 NMR (Nuclear Magnetic Resonance 核磁気共鳴法)が確立され、主に化学的な分析などに使われていました。この方法を人体のイメージングに応用したものが MRI (Magnetic Resonance Imaging) です。

猪股弘明(理学士: 物理、医師: 精神科)

 

 

MRIとは?-その1-

薬子
あの・・・
nomad
なんでそ?
薬子
医療画像のうち CT の仕組みはなんとなく理解できるのですが・・・
nomad
CT は、レントゲンを(患者さんを軸に)ぐるっと回して撮った「影絵」から、画像を再構成しているようなものですね
薬子
MRI (Magnetic Resonance Imaging)の仕組みがわかりません(キッパリ)
nomad
あー、あれは難しい。
医師でもぼやっとしか理解できていないと思う。
大学時代、理学部で NMR (Nuclear Magnetic Resonance 核磁気共鳴)スペクトロスコピーやっている先輩が持っていた教科書見て、基本概念から理解するのは無理!と思った。
ただ、臨床現場では、検査時などに患者さんに説明する必要があるので、「患者さん解説用」の最低限の理解は必要だと思う。ちょっとやりましょうか。

 

私たちの体のほとんどは実は水分でできています。

水分、水、化学記号で書けば H2O ですね。酸素原子一つに水素原子が二つ結合した化合物です。
ほとんどの水素は、陽子1個の原子核と電子1個からなります。

水素の中の陽子は、ちょうどコマのようにくるくる回っていると考えられています。電気的な性質を持った物体が回転するので周囲に磁場がつくられ、結果として自ら磁石のようにふるまうようになります。MRI 画像の基本であるプロトン(ここでは陽子と思っていただいてけっこうです)密度強調画像では、外部から電磁場を与えることで体の中のこの小さな磁石の密度をみています。

 

nomad
なのだが、次回、もうちょっと突っ込んだ説明を試みます

 

 

つづく

 

大海薬局の在宅への取り組み方を変えたある患者様からの一言

薬子
今回は、「なぜ、在宅なのか?」について語ります。と言っても、文章はほぼ猪股先生によるものです。面目ない…

大海薬局は地域の患者様のお役に立ちたいという思いで開局しました。しかし、以前の在宅訪問は保険点数的にもそれほど評価されておらず、患者様が施設に入られたりお亡くなりになられたりするケースもあり、経営的視点からは安定した収入源にになりにくい業務でした。あまり損得勘定を考えたくはありませんが、在宅訪問の対象は近隣の患者様に限られ、頼まれればお引き受けする程度のボランティア的な位置付けでした。

近年、厚生労働省はかかりつけ薬局構想を打ち出しました。その一環として地域支援加算を 2018年に新設。その施設基準の一つに在宅訪問実績があります。在宅訪問を積極的に行う薬局は、安定した加算が得られるようになったのです。

この時私が想定していた患者様は終末期1)の患者様です。当初は「終末期対象の在宅に腰をすえて取り組める!」と喜んでいましたが、訪問看護師の仕事とかぶる部分もあり在宅医療チーム2)に入ることができず、なかなか患者数が伸びません。途方に暮れること1年。状況が変わったのは精神科疾患で通院/外出困難になり当薬局から「一時的に」お薬を届けていた(と私は思い込んでいた)若い女性患者様からの1本の電話でした。

「これからも薬は今までどおり大海薬局さんからもらいたい。(医師の)往診後にまた来てくれませんか?」

目から鱗が落ちる思いでした。私は対象を終末期の患者様に勝手に限定してしまい、それ以外の疾患で薬を取りにこれなくて困っている人がいることに気がついていませんでした。さらに、この経験から、ご自宅を訪問した際に「薬を媒介としたコミュ―二ケーション相手としての薬剤師」にニーズがあることも知りました。

これ以降は、在宅=終末期という思い込みを捨て去りました。医師やケアマネージャーとチームを組みながら比較的短期で訪問が終了する服薬指導中心の在宅訪問にも本格的に取り組み始めました。

このブログではこのような地域に密着した大海薬局の在宅訪問の実際を紹介しています。

1)いかなる医療の効果も期待できず、余命が数か月以内と判断される時期をいう。

2)医師をはじめ、歯科医師、訪問看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などの医療関係者が患者様のご自宅で治療やケアを行っていくチーム

 

猪股弘明(精神科医師)

大海薬局というのはもちろん実在していません。架空の薬局です。これまでコンサルトしていた調剤薬局を適度に混ぜ合わせてます。

この手の記事を納品するのは、仕事の一貫(サービス)くらいに考えてますが、さすがに契約期間がすぎた後も使われるのは、当方にとってデメリットしかありません。特に薬局の管理者名義で当方の許可も取らず「さも、自分で書いた」みたいな形で発表するのはやめてください。

 

『薬剤師、現場に出る』kindle 版、配信開始

秋葉ちゃんの続きは? ねえ、続きは?」とせっつかれてるような気もしますが (^^;)、諸々の理由で『薬剤師、現場に出る』シリーズの電子書籍化に取り組んでました。
何日か前に完成稿を上げてたんですが、2019/2/10 にいつのまにか配信が開始されたようです。2019/12/31 にさらにコンテンツを若干追加した増補版を出しました。アマゾンのキンドル・ライブラリは、若干クセがあるようで、既に購入済みであっても、カスタマーサポートに連絡しいないと、新しいバージョンが落とせないようです。この点はご注意。

日本(co.jp)はおろか USUK でも購入できるのはさすがアマゾンって感じです。

 

Android の Kindle アプリでは、こんな感じで表示されます。

 

windows の Kindle アプリでは、このように。PC だとメモ機能も使いやすいですね。
今回は、私たちの希望もあって吹き出しなども画像でごまかさず、blog のようにテキストはテキストで処理してもらいました。

iPad で一部レイアウトが崩れた他は、おおむねのプラットフォームで問題なく表示できているようです。
ここら辺の仕組みは、私にはよくわかりませんが、ずいぶん苦労したんではないかと思います。ありがとうございます>担当者の方

【追記】「薬剤師 現場」あたりで検索すると、この本けっこう上位にくるようです。

最近(2019/7 月)では、日経あたりを抑えて堂々のトップ。

すごい売れているというわけではないようですが、この本の意図を伝えたいという薬剤師さんにはきちんと届いて支持されているようなので、その点はすごく嬉しいです。

 

nomad

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ

彼自身による秋葉太郎

秋葉太郎
前回登場したものの「影が暗すぎてよくわからないキャラになっている」とクレームいただいた…orz
製作者の演出ミスだな。
気をとりなおして、全身姿披露!

 

秋葉太郎
これが俺氏。
ジーンズ、ネルシャツ、バンダナ、オキニのアニキャラ。
人から変に思われるのは知っているが、俺はこのスタイルが落ち着くし、スタイルを変える気はさらさらない。

秋葉太郎
自己紹介しておこう。
現在、29歳。
東北出身。地元では神童といわれ、地元の県立高校から、現役で東京の国立大に入学。
知的好奇心としては京都の大学にも興味あったけど秋葉原に行きやすいから東京
コンピュータが好きで情報分野を専攻。好きなプログラムを書きまくってたら、世界から評価されて、博士号を4年でもらって院修了。
教授? いたけど俺は興味なかったから、あんまり教わったとか教えられたって記憶はない。

秋葉太郎
博士号取得後は、メーカーに就職。
ここが最悪だった。
研究ができるのはよかったんだが、上司が無能。
俺氏の華麗にして美しいプログラムが理解できなかったらしい。
「周囲の人から理解されるようにもっとわかりやすくプレゼンしなさい」とか俺だったら恥ずかしくて口に出せないような当たり前なこと言ってた。けど、俺からしたらナンセンス。美しいものに余計な説明はいらない。それがあいつはわかっていない。あんまりうるさかったから、最後は胸ぐら掴んで「無能なお前に俺の管理は無理だ!」ってはっきり言ってやった。

同僚からも妬まれたね。
俺氏が3日で書ける内容を奴らは5年かけてやっとこさ形にする。で、うまく動かなかったりする。できないんだったら素直に聞けばいいのに、遠回しに言ってくるんだ。「仲間にならないか」みたいな感じで。まったく気持ちの悪い連中だよ。俺氏は、こういうとき、馴れ合いよりも高貴な孤立を選ぶ。仲間になんかならなかったから、さんざん嫌がらせされたよ。

OLっていうのか。会社の女子も苦手だったな。これに関しては時間があったらおいおい語っていこう。

結局、最後は、色々なむしゃくしゃが溜まって、会社の研究所で大暴れしてジエンド。

秋葉太郎
その後は、大変だったな。

病院に連れて行かされて、発達障害という有難い診断名をいただいた。会社はそんないきさつもあったんで、警察のご厄介にもならず、辞めるときは自発的退職という形になった。

田舎の両親は掌返し。それまでの神童扱いが、犯罪者扱い。縁切られた。

仕事もない(する気もなくなったけど)。家族にも頼れない。

これには、流石の俺氏も途方に暮れた。

秋葉太郎
そんな俺氏を救ってくれたのは、市役所の福祉担当の牧田さんと青空のとし子ヘルパーだった。

牧田さんは、自立支援制度による介護利用というけっこう裏技に近い(と思う。介護ってお爺さん・お婆さんのためにあるんだと思ってた)手段を使って、行政による支援の手を差し伸べてくれた。

とし子さんは、俺氏の病気に理解があったかどうかわからないが、お姉さんのように接してくれて、荒んでいた俺の魂を癒してくれた。

それなのになぜ引き離す!?

 

と、キャラ設定を1回で終わらせたいというこちらの意図を汲むかのように一気にこれまでの経緯を語った秋葉氏であった。

次回は、この人物設定を医学的に検証してみます。

 

監修: 猪股弘明精神保健指定医

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ


当ブログの患者様に関する個人情報に対する取り扱い・倫理的配慮に関しては、

phazor.info『ネット版 症例発表における倫理指針

で示された倫理規定に準じています。

つまり、個人が特定されないようにぼかして書いてます。ただし、モデルになった人物はいます。けれどご安心ください。該当する2〜3人の利用者さんの特徴を混ぜてますので、決してあなたのことを書いているわけではありません