nomad
MRI の測定原理上のキモはスピンだと思いますが、まー、これがちゃんと理解しようとすると難解。
あくまで「医療者」としての理解ということでいいと思います。
あくまで「医療者」としての理解ということでいいと思います。
体内の水分子は静止していれば、原子核中の陽子はプラスの電荷をもったただの球状物体すなわちボールのようなものです。しかし、自分自身がある軸を中心に回転していると考えると、回転軸を中心として円形電流が流れているようなものですから、磁場が発生します。円状に流れる電流回路に磁場が生じるのは高校物理でも習いますね。
それをより大きな外部磁場中に入れると陽子の回転軸は外部磁場と平行か反平行かの2つの状態を取ります。
薬子
陽子が回転すると磁石のようにN極、S極の方向ができる。それをより強力な磁場の中に入れると上向き、下向きの2つに分かれるっということでいいでしょうか?
それでいいと思います。普段は陽子の向きはバラバラですが、MRI 装置中の強い磁場の中に入ると上向きと下向きに分かれます。
あれこれ言ってきましたが、上向きか下向きの二つしかない状態を作り出すってのがミソです。この状態にしてから、電磁波を外部から与えて、意味のある情報を取り出そうってのが、基本的な測定原理です。
その3に続きます。
【補足説明】歴史的にいうと、それまで点状電荷と考えられていた(=静止した点状電荷では磁場に反応しようがない)電子に磁場に反応する性質がまず見つかり、その説明のために上記のような説明が考えられました。ある軸を中心にそれ自体がくるくる回っている(自転している)と考えると都合が良いためこの性質は「スピン」と名付けられました。
その後、原子核にもスピンという性質があることがわかり、この現象に基づく測定法 NMR (Nuclear Magnetic Resonance 核磁気共鳴法)が確立され、主に化学的な分析などに使われていました。この方法を人体のイメージングに応用したものが MRI (Magnetic Resonance Imaging) です。
猪股弘明(理学士: 物理、医師: 精神科)
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