Horos ではこの機能が使えなかったので、HorliX では RAW ファイルが読み込めるようにコードを修正した。
元のコードは残しておきたかったのでメニューアイテムに Import Raw Data2 を追加した。(ファイル > Import > Import Raw Data2)
すると特定のファイルを読み込むパネルが現れるので、このとき「オプション」を押下する。RAW ファイルを読み込むのに必要な情報を指定するダイアログが現れるので、所定の値を入力する。
今回は、203×203 スライス数 4 のRGBカラー画像を読み込ませる。適宜情報を入力。
入力後「取り込み」押下。データベースに取り込まれる。
今回は、以前におこなっていた ECTのシミュレーション結果を読み込ませた(ECT ElectroConvulsive Therapy: 電気けいれん療法。映画『カッコーの巣の上で』でジャックニコルソン演じる主人公への懲罰目的で使用され物議をかもしたのでご存知の方もいるかもしれない)。
このようにそれ自体は DICOM ではないが、DICOM に関係するデータを読み込ませるとき、この機能は便利だ。なお、読み込ませたデータのモダリティは SC になる。
このようにして取り込んだデータは、HorliX 内部では DICOM として取り扱われるので通常のものと同様 2D のビューアなどで閲覧が可能だ。
3D を構成できるほど十分にスライス数があれば、3D 表示ももちろん可能。
なお、上の画像は、ECT で電極を bifrontal (両前頭性)に配置したときの頭部モデル内の電位分布を表示したもの。確か青が -50V、赤が +50V 、緑が 0V。電位降下が急激すぎて肝心の頭蓋骨内の電位分布が上手く表現できていないが、逆に言えば電気が頭蓋骨内に侵入する頃には、電位はかなり減衰していることをよく示している。ECT の紹介でよく「頭部に数百ボルトの電気を流して〜」という表現が使われるが、大脳にかかる電位差は、シミュレーションの結果を信用するなら、そこまで大きくなく、おおよそ十数ボルト程度だ。また、電気の海馬直撃を避けるように電極配置を工夫すれば、短期記憶消失の副作用もかなり回避できる。
DICOM を3Dで表示すること、および、DICOM を加工したデータを同一のソフトで表示することは意味のあることだと私は思っている。
猪股弘明(医師: 精神科 理学士: 物理)
【参考】
なお、上記シミュレーション結果を参考にして、実際に治療を試みた症例を
にあげてありますので、ご興味があればご一読のほどを。オープンアクセスですのでどなたでも読めます。(追記:上記症例の和訳を収録した『advanved ECT techniques』を無料化しました)
精神科救急の話から始まって電気生理あたりに着地するため、この辺が詳しくない方から、難解だと言われることもあるのですが、その場合は、
『修正型電気けいれん療法により精神症状の改善がみられた薬物抵抗性のレビー小体型認知症の1例』( Dimentia Japan, 西田岳史・近江翼・松永秀典)
を読んでみてください。治療者たちが「なぜ、(一見すると常識外に見える)パルス幅の広いパルスを使ったのか」が日本語でわかりやすく書かれています。
ECT 施行時のパラメータのより一般的な考察は
『電気けいれん療法における刺激パラメータ調節の可能性』(川島啓嗣・諏訪太郎・村井俊哉・吉岡隆一)
が参考になると思います。これも日本語でわかりやすく書かれています。それにしても京都大学精神医学教室 ECT チームのみなさま、いつもありがとうございます。
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