精神病院と『眠れる美女』

 

精神病院は慣れないと食欲も出ないという人も多いようだが、鉄格子から吹く風に心地良さを覚えるくらいでないとやっていけないと思う。
今日の当直の検食。鯵の南蛮漬けがけっこう美味。

検食後、「死にたい」と訴える60代男性を診察。聞けば性的能力が衰えてきて色々なことが楽しめくなったという。興味の減退(+)、自責の念(+)…etc
→傾聴
が基本なのだが、ここら辺が当直のいいところ。時間を気にせず 30 分ほど加齢と性の問題について患者さんと話し合う。認知の歪みをさりげなく修正。さらには、この手の問題を苦手としてそうな女性看護師さんに後期川端文学における老人と性のモチーフなどを語る(『眠れる美女』のあらすじだけでも知っていて損はないと思う)。最後にこの問題を解決してくれそうな現実的なプランを提示。
患者さんも興味を示したようだが「お金は後見人が管理していて・・」と困難感を訴える。だが主体的な解決法を自ら考え始めたことを肯定的に評価し、そのことをお伝えする。スタッフに今日聞いたことを伝えて良いか確認を取る。「女性看護師さんに知られると恥ずかしい」と主張したため、男性スタッフ限定で情報の共有の了承を得る。
意外に早期解決するのではなかろうか。

猪股弘明(精神科医)


初出は facebook。タイムラインで流しましたが、デリケートな部分もあるので適宜表現を変えています。

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