猫のいる病院

先日精神科病院に営業&開発に行ってきた時の話。
まず、建物外観に軽くときめく。


今どき、こんな昔ながらの精神病院精神病院した建物ってなかなかない。
古いが手入れはちゃんといき届いている。
まず、猫ちゃんがスリスリとお出迎え。


良い精神病院にはアイドル猫がいるものだが、ちゃんといた。
フレンドリーな職員さんに聞くと「以前は茶トラがこの地域のボス猫で白黒ブチをボコボコにしていた。ある時、ボランティア団体が去勢手術をしてボス猫の性格が一変。二人は仲良しになった」ということだった。
エピソードも完璧に近い。
しかし、その頃の名残なのか白黒ブチは今もボス猫の背中をふみふみ。


可愛すぎる。

管理職との方と2時間ほどお話してきたが、そのときの細かい話はビジネスっぽくなるので割愛。ただ、建物は現在の基準にあっておらず建て替えざるを得ない、経営的に苦しくなるが地域のためにも何としても精神医療は継続していきたいとのことだった。ぜひ、継続させてください。
まったくアタリの病院で、一回でファンになってしまったのだった。
あ、当直もしてきました。指定医業務もまっとうしたかと。

 

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都立松沢病院の ECT

『Macの高機能DICOM Viewer/Analyzer : HorliXの紹介 (1)はじめに』

なんでこんな偉大な先生が HorliX のためにここまでしてくれるのだろう?
この感じ、以前にもあったなと思っていたのだが、思い出した。
都立松沢病院麻酔科のM先生だ。
M先生は、私の long brief pulse method を最後の最後まで擁護してくれた。long brief pulse method というのは、悪名高きECTの一種の変法だ。通常設定でECTの効果がなかったとき、刺激波形を決める各種パラメータを一施行毎に変化させ最適値に近づけていく。一種のテーラーメード医療といってもいいと思う。もちろん最適値が事前にわかるわけがないので、施行後に速やかに結果を評価して可能な限り最短手数で最適値を見つけ出す必要がある。
松沢病院では、サイン波 ECT が強く関係していると思われる医療事故がおこったため「サイン波ECTは危険」という認識が生じ(これは疫学的研究からまったく正しい)、それまでの
 ECT装置通常設定無効時→サイン波装置使用
から
 ECT装置通常設定無効時→パルス幅変更
(つまり、サイン波装置は使わない)
といういわゆるlong brief pulse method というアルゴリズムに変わった。
ECTをかける技術が未熟な医師にインシデント・アクシデントおこされて麻酔科医として巻き添えは食いたくないというリスク回避も正直あったと思うが、そこにはそういったことを超えた何かがあったように思う(というかそう思いたい)。
 
その long brief pulse method も現在の斎藤院長に変わり「パルス幅を2倍にすれば、電力は2倍になる。装置の設定を変えるなど言語道断」という電気回路工学的・物理学的には完全に間違った理由で放棄されてしまった。(この主張が成立するのは、系の応答を直流的に取り扱っても良いときだけだが、生体組織は一種の誘電体として振る舞うため、交流的に取り扱わなければならず、問題設定の把握という点から間違えている。また、「共鳴」とは異なる原理なのだが、最適値付近では必要な電荷量は少なくてすむことがかなり多くのグループから報告されており、この特性を把握していないという意味でも間違えている)
そのときもM先生は最後まで抵抗してくれたと聞いている(その時点で私はヒラの医員だったか非常勤だったかで幹部会には当然出席を許されていなかった)。
 
なお、long brief pulse method は無名のジャーナルとはいえ peer-review を通っているので、エビデンスの有り無しでいえば(一例モノでグレードは低いものの)「有り」である。
A case of schizophrenia successfully treated by m-ECT using ‘long’ brief pulse. Inomata H et al, International Journal of Case Reports and Images 2012;3(7):30–34.
有難いことに京大の川嶋先生・村井教授らも追試をおこなってくれているので、何らかの加点要素はあるのではないかと思う。
それに対し、従来アルゴリズムは単に経験的におこなわれているだけなのでエビデンスは「無い」(と思う。すみませんEBMに関してはそれほど詳しくないです)。少なくともAPAのガイドライン的にも「今後の課題」とされていて、はっきりとした指針があるわけではない。
なんでエビデンスのある治療法が、ない治療法に取って代わられなければいけないのか? しかもよくわからない理由で。
 
以前にこのことに関して「今から考えるとおかしい」と書いたのはそういった理由による。
 
そういえば、両先生、(斎藤先生にはまだ実際にはお会いしてないが)容姿なども似ているような…。

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他人と何かを「共有」するということ

長らく放置していましたが、そろそろ手を入れていきたいと思います。

最近、嬉しかったのは以前に書いた症例報告(A case of schizophrenia successfully treated by m-ECT using ‘long’ brief pulse)が引用されたのを見つけたこと。

修正型電気けいれん療法により精神症状の改善がみられた薬物治療抵抗性のレビー小体型認知症の1例』Dimentia Japan

が、それ。

 

内容は「レビー小体型認知症(DLB)にm-ECTを施行したらけっこうよかったよ」というもの。

 

…DLB における神経変性や神経細胞脱落が S-D 曲線の右方シフトを引き起こすと仮定すると、mECT によるけいれん発作の閾値を上昇させる可能性がある…

 

 

素朴だが、的を得た考察。右方シフト仮説は、体裁を整えるために5分ででっちあげたことは内緒にしておこう(笑)。

 

以前にも京大の先生方が引用してくれたし、関西を中心に私の方法論広まってないか?

逆に変なのは、この方法論の発祥の地である松沢病院でなぜかこの方法論が定着していないこと。(それともこっそりやってんのかな?)
冷静に考えるとおかしいよね。

ペーパーの類はよく「名刺」に例えられる。パブリッシュされたものだから、外からこう見られたいという思いがそこには詰まっている。そのリファレンスに自分の名前が引用されているのは嬉しいし、内容が適切に接木・シンクロしてあればなおさらだ。そのシンクロの連鎖こそが「共有」の真髄であるように思うのだが、どうだろう?

 

 

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ECT 委員会ご推奨

今月号の精神神経学雑誌に『電気けいれん療法(ECT)推奨事項 改訂版』が載っていたので、目を通してみた。
・パルス波とサイン波装置に関して
「サイン波刺激よりもパルス波刺激が、定電圧治療器より定電流刺激治療器が推奨される」
とあるが、メーカーのサポート切れ云々に関しては触れられず。
また、パルス波で不発に終わったときの取り扱いもまったく言及なし。
・パルス幅に関して
まったく触れられず。
全体としては出来はいいが、私なんかからすると物足りない。

 

サイン波装置サポート終了

最近、小耳にはさんだところによるとECT(電気けいれん療法)のサイン波装置(通称『木箱』)のサポート終了が決まったそうだ。
数年前から生産は中止されていたのだが、未だに使われている施設があるので細々とながらメーカーのサポートがおこなわれていたのだ。
副作用などの観点から、大学病院や基幹病院では既にパルス波装置が供用されているのだが、諸々の理由(パルス波装置が高額、麻酔科医が必要etc)で生産が中止されたにもかかわらず、今でも現役で使われているのだ。
法的な問題は詳しくないのではっきりとはいえないのだが、メーカーサポート切れの医療機器を使い続けるのはかなり問題あると思うので、今後は公的には使えなくなると思う。

私が非常勤で勤務している病院は、サイン波装置はあるものの実質的には使っていないので(非常に曖昧な形ですが、私のアルゴリズムに従ってもらってます)、大して影響を受けないはずですが、日本の公的なアルゴリズムでは『パルス波無効→サイン波に切り替え』と謳われているので、何らかの手当てが必要なはず・・・なんだけど、今のところ、動きがみられない。

精神科治療的には、けっこう重要な役どころを担っているだけに、そろそろここらへん詰めないといけないでしょうね。