「ひきこもり」と精神科訪問診療

現在、臨床業務としては、横浜市の某区のメンタルクリニックで外来を担当しているのだが、ここは外来の他、カウンセリング・デイケア・精神科訪問診療もやっている。

そのクリニックのマネージャーの方と雑談していたら、やはり最近、多いのは「ひきこもり」の訪問依頼だそうだ。それも区の福祉担当者からの紹介が多いという。
「ひきこもり」というと、「対応が後手にまわっている」とか「新しい制度・モデルが必要だ」とか不安を煽って大騒ぎしている人もいるようなのだが、この考えには常日頃から違和感を持っていた。

「ひきこもり」となっている原因のある程度は、ベースに精神疾患がある場合が多い(もちろん、「ひきこもり=精神障害」が成り立つわけではないが)。発達障害・うつ病・躁うつ病・統合失調症…etc バラエティに富んでいるが、どれも精神科の守備範囲だろう。やることも外来・入院の時と大きくは違わない。面接をし、見立てをし、当面の治療方針を立て、適切に社会資源を使う、時には家族調整を行う。
既存のシステムを活用することでもある程度の対応が可能なように思うが、どうだろうか?

若干問題があるとすれば、このルートの使い方の上手い下手が各自治体においてかなりの差があること。

当たり前のことを当たり前にやることは、意外に難しいが、珍妙な制度を新設するよりは、よほど現実的で効果的だと思う。

 

猪股弘明(精神科医)

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