2022 夏

ただの雑感。

YouTube

今まで積極的に使ったことがなかったのだが、OpenDolphin や Java(限定公開) の解説動画にぽつぽつ反応があった。

あんなの、経過記録もいいところ。
編集する気などまったくない一発撮りなのだが、意外にウケがいい。

プログラミングに関しては、ただの初心者向け講義風っぽい動画より、実務的な内容の方がいいのかもしれない。

(プログラマー志望者は)『何千人いても樹海でさまよっていて山頂に到達する人は少な』いみたいな状況があるんだろうな。

ネタは山ほどあるので、適宜アップ予定。

OpenDolphin 関係

OpenDolphin は「真正性」すら満たせていないかもしれない』が評判いいようだ。

「オープンソースのソフトはセキュリティに難があるのでは?」というのは誰もが思いつくことだと思うが、当たり前すぎて誰も言わない。

こういう場合は、具体的な例を示すのが適当だと思うのだが、適当な例を挙げるのが意外に難しい。

PostgreSQL の LOB を操作している時に、「そういえば、LOB を oid 使って直接操作したら hibernate のような ORM やそれを使ったシステムはそのこと(直接操作による改変)を認識できないよね」と思いつき、上述の問題の具体例として仕立て上げたという次第。

Java17 対応

基本的にはできている。

なんだが、画像表示周りは保存形態が jpeg 限定になっていて、関係者一同、「んー?」の声。(『医療画像を情報損失のある形式で保持するとかは普通しない』あたりを参照)

情報劣化のない形式で保持しておいた方がいいという意見が多かったので、これは、別系統のバージョンとする予定。

 

猪股弘明

 

 

ウマ娘と Unity と物理法則

ちょっとした話題になっているウマ娘だが、少なくとも win 版は Unity というプラットフォームで開発されているようだ。
ウマ娘を win にインストールするとユーザーホーム直下に umamusume というディリクトリがつくられる。ここに Unityxxx というファイルが含まれているので推測できる。
試しに先ほど Unity をインストしてみた。これからちょっと触ってみようと思う。
なんかレーシングゲームのひな型はすでにあるような・・・。

日本人は Unity のような枠組みをつくるのは下手でも、それ使ってコンテンツつくるのは上手だなとは思う。
アイキャッチのスクショの左がウマ娘、右が Unity の画面。
ちなみにウマ娘はアグネスタキオンw

あと、気になったのは、ヲタ気味の人がつくっている「考察」動画の類で、私もプレイするときに参考程度にチラ見したが、ちょっと物足りないかな。

例えば、ある物体が等加速度運動をしている場合、時刻 t でのその速度 v は、初速度を v0、加速度を a とすると
v = v0 + a * t
で与えられる。

実際には推進力は変わるなどして等加速度運動しているわけではないだろうが、どこかにこのような基本方程式というものがある、という視点がないとちょっと物足りない。

というか、ないとゲーム自体がつくれないでしょ。

 

(追記)『ウマ娘』はリリース以降、ほとんど勢いが衰えない感じで 2021 年が終わろうとしている。
いやはや、すごいですね。
まさか、ここまでのコンテンツになるとは。

ところで私も嗜む程度にはやっていたのだが、若い人に言わせると「(育成方針や戦略が)全然ダメ」だそうだ(笑)。

私の場合、リアルタイムで見ていたライスシャワーが(ゲームとして)完走すればいいくらいのモチベーションでやっていた。
だから、サポートカードガチャにはあまり興味がなかった。
演出も地味だしね。

スピード・ゴールドシチーやスタミナ・サトノダイヤモンドなどを使っていたのだが、これがダメらしい。

「いったんアプリ削除して最初からやり直した方がいい」レベルだそうで、大して課金もしていなかったので、それに従ったら、いやあ、強いウマ娘が育成できるようになりました。

コツは、インストールした初期の頃、大量に配られるジュエル(石)を可能な限りサポートガチャに回すことだそうだ。

この方針に従ったら確かに無課金でサポートカード天井までいけた。
運よく SSR マヤノトップガンがピックアップされていたので、3凸達成。

この状態でキタサンブラックをフレンド枠で借りてくると、ステータス伸びる伸びる(笑)。

こういうのは若い人は本当に得意ですね。

 

『春を告げる』考

♪ 深夜東京の六畳半夢を見てた

というやたら耳に残るフレーズで覚えている人の多い『春を告げる』だが、The First Take で歌い手の yama さんが生歌を披露してくれた。
今日現在(2020/12/25)で再生回数 468万回。やはりファンは多い。

ところでコメント欄を見ていると「春先の新型コロナを思い出す」、「上京組は好きじゃないか」みたいなコメントが目立つ。

でも、これ、歌詞を意識して読むとわかる気がする。

 ♪深夜東京の6畳半夢を見てた灯りの灯らない蛍光灯
 ♪幼少期の面影は 誰も知らないんだ
 ♪明日世界は終わるんだって

あたりのフレーズから、

『大学入学を契機に上京したが、荷物も届いてないので蛍光灯もつかない。
もちろん、知ってる人は誰もいない。
コロナ禍で大学も絶賛休校状態。
始まりの春なのに、世界は終わるかも』

みたいな状況がうっすらと浮かび上がってくるから。
もちろんコロナの時期に「たまたま」リリースされたんだろうが、そういう風に考えられなくもないということで。

それはそうと『夜に駆ける』も CD 未発売ながら紅白出場。

こういうのがトレンドかー。でも、悪くないと思う。

 

(追記)その後、yama さんが某テレビ局のインタビューを受けた。

おおむね、私みたいな印象を持っているような人が多いようだ。

 

猪股弘明
医師:精神科(精神保健指定医

 

 

COVID-19 とオープンソース

新型コロナ感染症とオープンソースソフト(Open Source Software: OSS)の絡みでいうと、ちょっと話題になったのは、東京都の新型コロナ対策サイトだろうか。

東京都公式の新型コロナ対策サイトはオープンソースで作られた!

サイトの雛形になったソースコード(日経的には「設計図」)が GitHub というサイトで公開され、修正提案なども歓迎されているため、参加はしやすい。

そこに台湾の天才デジタル大臣と名高いオードリー・タン氏が降臨したものだから、一気に盛り上がってしまった。(実際には、一文字修正しただけなんだが)

 

地域版への展開

プロジェクトが始まった当初は東京都版の多言語対応だとか「縦」方向の進化を続けていたのだが、現在(2020/03/20)は、東京都サイトのソースコードを流用しての「横」展開、つまり、各自治体バージョンの開発・公開の方向に向かっているようだ。
いくつか紹介。

・本家東京都
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

・神奈川は有志がつくっていたものが県公式となりました(→すみません、別物のようです。)
https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/1369/
神奈川版の病院稼働表示は各方面からの評価も高く、

全国医療機関の医療提供体制の状況(β版)

に取り入れられたようです。これは、かっこいい。

ただ、もうこうなるとオープンソースでもなんでもない。

・アイキャッチがカッコイイと評判の北海道
https://stopcovid19.hokkaido.dev/

・三重県は高専生が立ち上げてちょっとした話題に
https://covid19-mie.netlify.com/

・千葉は、なんと

千葉県(公式) https://covid19.civictech.chiba.jp/
千葉県(非公式) https://chiba-covid19.mypl.net/
千葉市(非公式) https://stopcovid19.code4chiba.org/

三つが並行して動いている(他にもあるという説もあり)。

・3/31 にいきなり陽性者が出てちょっと驚かれた山形県
https://stopcovid19-yamagata-unofficial.netlify.app/

・新潟県(非公式)もまったり更新中
https://stopcovid19-niigata-unofficial.netlify.com/

・アクティブに図版の追加が行われている富山県。
https://stopcovid19-toyama.netlify.app/
他にも色々と動きがみられます。

ただ、栃木・茨城は何の動きもみられない(ぼそっ)。

【追記】地域版サイトは、新規のリリースや URL の異動が激しいため、『政府 CIO ポータルのページ』やここなどでチェックしてください。

 

stopcovid19.jp は自治体「公式」ではない!

横方向に広がってくると何らかの統一感が欲しいという欲求は出てくる。

Code For Japan で URL が xxxx.stopcovid19.jp となるよう開発者にサブドメインを払い出すようになった。
が、これは URL の張り替えを伴う(=一手間かかる)ことやそもそも Code For Japan とは無関係に自身のサイトを開発してしまった一般市民(高校生や大学生などはその典型でしょう)も多くいて、必ずしも浸透はしていないようだ。

Code For Japan は開発者に作成サイトを各自治体の「公式」サイトになるように奨励する傾向があるようなのだが、たとえ技術はあるにしてもぶっちゃけそこまではしたくないという人は多い。
例えば、某県では CodeFor 「某県」 が自治体にアピールしていたようなのだが、実際に自治体の側から要請を受けたのは、別の個人開発の方(といってもかなり実績のあるエンジニア)のサイト。しかし、その開発者は、メンテの煩雑さを予想してか「公式ではなく公認」程度を希望していた。行政が開示したデータとはいえ、医療に密接に関係する情報であることを考慮するとこういった態度は一つの見識だと思う。
また、別の某県では県公式HPからリンクされたのは、CodeFor の方ではなくて、有志の手によるサイトだった。

 

そういった経緯があるので、URL 末尾が stopcovit19.jp だからといって必ずしも信用できるものはないし、自治体公式でもないことや個人や小グループで開発・運用されたサイトでも信頼のおけるサイトはあるということは注意しておく必要がある。

その他、問題点

前にもちょっと触れたが、オーバーシュート時の対応が示唆された段階でもまったく動きの見られない地域もある。素(設計図)があるだけに地域版カスタマイズの敷居は低いのだが、立ち上げた地域でもそれだけでいっぱいいっぱいになっているところも目立つ。たぶん、技術者の地域間偏在・スキルの格差がこういったことの背景にあるのではないだろうか。ここらへんはいわゆる「シビックテック」の限界の一つだろう。

 

また、サイトの準備はほぼ整っているのに自治体側のデータの開示が今一つで、うまく情報を発信できない地域もけっこうある。

 

さらに、東京都や総務省あたりはこういった取り組みに一定の理解があると思うのだが、日本医療の総元締め的存在の厚生労働省は関与はしていない。
医療に関係するソフトでありがちなのは、経産省や総務省が焚きつけても実際の医療現場からするとピンがボケていて、医療関係者や厚労省あたりからまったく相手にされず、結果、大した成果もあげられないっていうパターンだろうか。

今回のケースで言うと、厚労省が広域対策を打ち出した時点で(『新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたときに備えた入院医療提供体制等の整備について』)、少なくとも『横展開』に関してはピンがボケた感がある。

厚労省が言いたいのは、患者搬送なども県を超えて広域で対応しなさいよってことなのだが、「自治体」だけにこだわっているとこういった変化に対応しにくい。(それだけ SARS-CoV-2 の「感染」速度が、オープンソースの「感染」速度より速かったということなんでしょうけれど)

例えば、NHK のサイトは、かなり以前からこんなマップを提示している。

交通量の影響だとか地勢学的な伝染のしやすさみたいなものがうっすらと想像できると思う。
別に NHK の回し者でも何でもないが、やはりみやすいよね。

 

オープンソースのメリットが生きた点

やはり、ソースコードを直接改変して機能追加がしやすいところだろう。

」公式をあえて強調している(↓)ような兵庫県版は(ちなみにドメインも .org)、

いち早く(本家東京より早く)病床数と入院患者数に注目、わかりやすい円グラフの形で視覚化してくれた。

こういう工夫は厚労省のお達しにも合致していて良いですよね。

 

なお、ここらへんのお話は、『新型コロナとシビックテック』あたりの記述がリアルです。

広域連携のもう一つの形 -東北・新潟共同緊急宣言-

広域連携に関連して言えば、首都圏では実際に県・都を跨いで患者の受け入れなどは行われていた。IT がどの程度関与できたかは知るよしもないが、泥臭い人海戦術で行われたと聞いている。IT で全てが解決できるわけではないのだ。

興味深かったのは、4/24 に東北6県(青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島)と新潟県が共同で緊急宣言を発出したこと(厳密には政令指定都市である仙台市と新潟市と共同)。

ネットでは戊辰戦争になぞらえて「令和の奥羽越列藩同盟」と話題になった。

「なんで、この組み合わせ? Why?」と不思議に思った人も多いようだったが、この地域はなぜかうまく感染拡大を封じ込んでいて、他地域からの流入や地域内での往来を制限してこの地域でブロックを組んでしまえば、感染拡大をある程度は乗り切れると考えたからだろう。例えば、(引き合いに出してちょっと申し訳ない気もするんだが)新潟のお隣の富山県はかなりの間、陽性者を出していなかったのだが、3/30 に初めて観測されてから 4/25 までで累計 169 人、陽性率も比較的高めで推移している。同じ時期に初感染者を出した山形県とは対照的だ。山形県関係者の相当の努力があったのではないかと推測する。

【参考】厚労省『新型コロナウイルス陽性者数(チャーター便帰国者を除く)とPCR検査 実施人数(都道府県別)』より。ただし、1/15 – 4/21 の集計

しばしば「粘り強い」と称されるこの地域の県民気質も考慮すると、これはこれで「あり」な戦略なんではないかと思う。

 

サイトを支える技術 – Nuxt.js・Vue.js –

サイト自体は Nuxt.js (ナクストあるいはヌクストと読む)というフレームワークを使っている。技術的に感心したのは、このフレームワークのできのよさ。
各種グラフがモダンな感じで高速で描画できるのは、このフレームワークのおかげ。
ところで、最近、某先生が Laravel に凝っておられるようなのだが、最初、記事を読んだとき、正直、何のことかさっぱりわからなかった。
Laravel 自体は PHP のフレームワークで、やはりモダンな感じで洗練されている。WordPress サイトを Laravel + Nuxt で置き換えるのが最近のトレンドのようだ。

【実録】WordPressサイトをAWS+Laravel+Nuxtにフルリプレイスした話
などググればよく出てくる。

んー、私もそのうち着手しないといけないのかなあ。
しばらく WordPress + Nuxt あたりでごまかしたいんだが・・・。
とりあえず、東京都サイトのカードを WordPress に取り込むとこんな感じになる。

確かにカッコ良くはある。

ライセンスと著作権表記

なお、東京都のソースコード自体は MIT ライセンスというもので公開されています。
著作権表記はどの団体も (C) 開発・リリースした団体 としている。プロジェクトに貢献した人(contributor などという)は多すぎるので Web ページには表記せず、「設計図」を納めたサイト(リポジトリ)に別ファイルに記載されてます。
当然だと思うのだが、これを違うと解釈する人たちもいるので、念のため。

 

 

猪股弘明(精神保健指定医)

 

「ひきこもり」と精神科訪問診療

現在、臨床業務としては、横浜市の某区のメンタルクリニックで外来を担当しているのだが、ここは外来の他、カウンセリング・デイケア・精神科訪問診療もやっている。

そのクリニックのマネージャーの方と雑談していたら、やはり最近、多いのは「ひきこもり」の訪問依頼だそうだ。それも区の福祉担当者からの紹介が多いという。
「ひきこもり」というと、「対応が後手にまわっている」とか「新しい制度・モデルが必要だ」とか不安を煽って大騒ぎしている人もいるようなのだが、この考えには常日頃から違和感を持っていた。

「ひきこもり」となっている原因のある程度は、ベースに精神疾患がある場合が多い(もちろん、「ひきこもり=精神障害」が成り立つわけではないが)。発達障害・うつ病・躁うつ病・統合失調症…etc バラエティに富んでいるが、どれも精神科の守備範囲だろう。やることも外来・入院の時と大きくは違わない。面接をし、見立てをし、当面の治療方針を立て、適切に社会資源を使う、時には家族調整を行う。
既存のシステムを活用することでもある程度の対応が可能なように思うが、どうだろうか?

若干問題があるとすれば、このルートの使い方の上手い下手が各自治体においてかなりの差があること。

当たり前のことを当たり前にやることは、意外に難しいが、珍妙な制度を新設するよりは、よほど現実的で効果的だと思う。

 

猪股弘明(精神科医)