田端ナッシングからの・・・

ちょっと重めの話が続いたので、軽いネタ。

『君の名は』で一世を風靡した新海誠監督の次回作は『天気の子』だが、その舞台は、田端駅周辺だそうだ。

【緊急速報】新海誠監督最新作『天気の子』の舞台は田端だった…!

田端といえば、山手線ではかなり地味な駅として知られていて、以前に話題になった『山手メトロポリタンループライン』ネタでも

このように「田端ナッシング」という身も蓋もないネーミングとなっている。

実際、田端駅南口はこのような状態になっている。

(写真は google street view より)

「・・・・・」

だが、そこは「映像の魔術師」新海監督のこと、きっと叙情感あふれる胸がキュンキュンするような映画に仕上げてくれるに違いない。

聖地化されるかもしれないが、けっこう無理があるような・・・。

 

負の連鎖

連鎖は続いていく。

農水省元事務次官「川崎の事件見て息子も危害加えるかも」

報道もポイントをおさえ始め、

「事件直前には長男が近くの小学校で行われていた運動会の音がうるさいと腹を立てたのを父親が注意し」→聴覚過敏の存在を示唆
「練馬区役所によりますと、これまでに長男についての相談はなかったということです」→親族の自発的な福祉への協力要請は否定

とまともな情報を提供し始めた。
家族内力動の異常による家族機能の喪失などというものは、その家族内だけでなかなか解決できるものではなく、適切な外部からの支援が必要だと思う。
それもハコモノやシステムをつくっただけではダメで、まともに機能させるには、ある程度の練度が必要なのだろう。
仕事柄、東京都世田谷区や横浜市中区などの実情はまあまあ知っているが、他の地域は意外に機能していないのかもしれない。


なお、ちきりんさんによれば、被害者の方は、統合失調症の妄想型だったそうです。ちきりんさんのツィートに本人のアカウントでリプライがあった模様。

 

猪股弘明(精神保健指定医)

 

 

登戸の事件と「精神鑑定」

まだ医療観察法ができる前の頃のことなのだが、以前勤めていた病院で触法病棟(文字通り法を犯してしまった患者さんだけを集めた病棟)を担当していたことがある。担当症例が指定医申請用のレポートに使えるわけでもないし、はっきりいって人気がある病棟とはいえなかったが、うら若き女医さんを差し向けるわけにもいかないという事情も察しており(ちなみに看護師も男性のみ)、病棟を受け持っていた上級医の先生の診察スタイルに惹かれていたこともあって、担当を指示されても悪い気はせず引き受けた。
その関係上、当時、いわゆる「精神鑑定」書などもけっこう読んだ。

例の登戸の事件では、犯人は既に自死しているため精神鑑定などは行いようもないのであるが、しばしば連想されている附属池田小の事件では、当然、行われている。

現物を読む時間もないので、wikipedia などの記載をまとめると「宅間はいずれにも分類できない特異な心理的発達障害があり、この延長線上に青年期以降の人格がある。本件犯行時、本人は情性欠如者であり、穿鑿癖、脅迫思考を基盤とした妄想反応である、嫉妬妄想があった。本件犯行そのものに踏み切らせた決定的なものは情性欠如であり、著しい自己中心性、攻撃性、衝動性である」だそうである。
統合失調症圏は否定的、人格障害的な背景が強いことを示唆している。

また、調べていて初めて知ったが、死刑囚は死刑確定後、行政に対し刑の早期執行を要求している。

『八つ墓村』の主人公のモデルは現在では統合失調症ということで理解されていると思うが、事件後、やはり自死している。

かつて自分を馬鹿にした小学生・村民に復讐したいという(ある程度了解可能だがかなり不健康な)感情から出発し、それが妄想的・脅迫的ともいえる社会正義的観念に発展しないと実際の犯行に及ぶのは難しいと思う。が、奇妙なことに特異な興奮状態の下それを完遂すると当事者たちは「もう自分の天命はまっとうした」と言わんばかりに自己の存在さえも抹消しようとする。

他者の殺傷と自己の抹消が分かち難く結びついているというのが普遍的なものであるなら、このタイプの犯罪者に「一人で死ね」という批判をするのはほぼ無意味なことになるし、歪んだ観念を形成する「前に」何か手を打つというのが現実的な予防策になるかと思う


と facebook にさらっと書いていたのだが、最後の予防云々に関して「実は、同居していたとされる親族は事件『前に』川崎市の精神保健福祉センターに相談にいっていた」ということを教えてくれる人がいた。

こういうことらしい。

詳しくはリンクをたどって欲しいが、2017年からかなり頻回に相談しているにも関わらず、ほぼ放置といってよく、これを知ったとき、一同「うーん」とある種の後味の悪さとやり切れなさを覚えたように思う。


今度は元政治家の橋下徹氏がこんな発言をして物議を醸している。

橋下徹氏、京アニ放火の青葉容疑者に「一人で死んでほしい」

橋下氏の場合、ディベートのような二元論に落としこんでいるだけにさらに性質が悪く、そのことも指摘されている。まだ動機の詳細などは明らかにされていないので、はっきりとしたことは言えないと思うのだが、他者の殺傷が正当化されるような妄想を抱き、精神が極限まで荒ぶっている者にこういった言葉は届かないように思うのだ。

 

猪股弘明(精神保健指定医)

小保方-笹井事件と不正告発制度

STAP 騒動だとか小保方-笹井事件だとか云われているものは、マスコミにニュースネタを提供しただけなく、今も研究・開発の現場に影響を与えている。

この事件をきっかけに

研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン

というものが文部科学省で定められたからだ。

これを受けて国の研究関連予算の分配機関を中心に組織毎に研究上の不正に関する規定・ガイドラインを設けるようになった。
ネット上で窓口を設けているところも多い。

・問題となった組織を抱えていた JST (科学技術振興機構)。

・文部科学省直接にはここ

・経済産業省管轄でも同様の窓口が新設された。

不正告発というわけではないが、各大学でも公益通報の窓口を設けている。例えば、京都大学はここ

私自身は、国から大型の予算を直接受領したことは一度もないし、そもそも自分が純粋な研究者だとも思っていないが、分配を受けた組織で働いていたことは過去にあるソフト開発などもやっている関係上、当局から関連領域の関与者とみなされたりもする。

そのせいか協力を求められている案件がいくつかある。主に資料提出要請だが、昨年は当局に直接出向いた。

こういった制度ができる前は、今でいう「不正」がかなりの頻度であったことは認識しているし、それで泣いた人も身近によくいた。

この制度の特に運用面に関しては言いたこともあるのだが、まずは、被害にあった人の無念のようなものが晴らされれば良いのになあと思う。

猪股弘明

 

 

医学部受験時カースト: 男子>女子>多浪>…>再受験

東京医大の贈収賄をめぐる事件は、受験時の点数調整の問題も明るみに出され、これが「医学部の適正な男女比」や「医師にとって幸せな働き方とは何か?」といった一般的な社会的な問題を惹き起こしている感がある。

こういう議論が今までなされこなかったという側面もあり、これはこれでいいことなのではないかと思う。

ところで「医学部受験時の個人属性による差別」は医師ならばある程度は知っていることであり、逆に一般の方はまるで知らなかったのかとちょっと驚いた。

医学部受験時に不利とされるのが「女子」・「多浪生」であるが、ニュースなどであまり取り上げられていない属性として「再受験生」というのがある。他学部在学中の学生や一度大学を卒業した社会人が医学部を受ける際に使われる呼称だ。

現在では学部(以上)卒業者を対象に学士入学枠なども設定されているので、差別云々というよりは特別枠として認められていると思うが、この制度が定着する以前は「再受験生」はほぼ「悪」・受験時の差別の対象の筆頭格とみなされていた。私が医学部を受験した20年ほど前はちょうど過渡期であり、群馬大などで学士入学枠が新たに設定され始めた頃であった。(参考:『今、医学部に入学する最も簡単な方法は学士入学かもしれない』)

その当時、再受験生に対し、一般受験時の差別、つまりあからさまな点数調整があったかといえば、(大学にもよるのだが)かなりの大学で「あった」と思う。では、それが絶対であったかというとそうでもなかったように思う。

例えば、私の出身大学は、当時、「再受験に対し厳しい」・「4浪以上は絶対に取らない」とされていたが、(入学するとわかるのだが)私を含め毎年何人かの再受験生が合格していた。では、点数調整がなかったのかというと(たぶん)そんなことはなくて、私の場合でいえば「センター+筆記試験」では中位以上で合格していたはずだが、実際には補欠合格であった。

正直、不公平では?と思わないでもなかったが、「試験問題に専攻分野が出た場合、現役高校生と比べ点数取れて当然」という事情もあり、私を含めそういうものだと受け入れていた。その代わり、そういった「差別」を乗り越えてきた学生は、細かいことに拘らない何かとパワフルな学生が多かったと思う。(だから決して「たまたま医師になった」わけではありませんw )

結局、何が言いたいのかというと、受験の選抜方法というのはどんなに議論を尽くしても不公平さは残るものだし、万人が納得する完璧に公平な選抜方法というものはおそらく存在しない、だが、それを絶対とはみなさず、しぶとく生き残っているマイノリティは存在するのだ、というようなことだ。

 

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