COVID-19 とオーバーシュート

「クラスター」に続いて「オーバーシュート」が話題になっているようだ。
Tweet もけっこう RT された。

ただ、これ電気生理学の概念じゃない?

神経系を構成する神経細胞(neuron)はこんな風に電気的な信号を伝えている。

このとき、神経細胞膜のある点では電位がこのように動いている。

通常は神経細胞内部は負に帯電しているのだが、適当な刺激があると膜外に存在している陽イオン(大半は Na+)が膜内に流入する。説明は略すが、このとき膜内の電位は 0 [V] を振り切って数十 [mV] になることが知られている。あたかも「行き過ぎて」しまったかのように見えるのでオーバーシュートという言い方をよくする。

図・GIF 画像とも http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/neuron.htm より。

 

「オーバーシュートは、わかりにくい。爆発的集団感染でいいんじゃないか」という声もあるようだが、医学系の教育を受けたきた人から見ると若干ニュアンスが違うかなと。

神経細胞でもそうだが、生体は平衡状態にあることが多く、何らかのトリガーがないと状態は変化しない場合が多い。

トリガー。

新型コロナの場合でいうなら、スーパースプレッダーが突如現れて、ネズミ算的に感染者が増えていく、みたいなイメージでしょうか。

(追記)そのあと、制御工学・気象学・為替相場などでも「オーバーシュート」という術語が使われていることが発覚しました。いずれにしろ「勢いがつきすぎてしまって目標の数値より行きすぎてしまった状態」を指しているようで、感染の状況を表現するときにこの言葉を使うのに違和感を覚える人も多かったようです。

 

 

猪股弘明(精神科医)

クリックclose

“COVID-19 とオーバーシュート” への1件の返信