Apple Review から Mac App Store へ

DICOM Viewer Horos は、ほんの数ヶ月前までは日本語対応されていなかった。惜しいと思った僕らのグループが、メニューなどを日本語化、さらに完全 64bit 化対応など改良を加えた。それが HorliX (ホーリックス)だ。

 

Apple Review

HorliX は、海外、特に研究家筋に評価されているようで、これを受けて僕らも Mac App Store を通じて配布しようと考え、ちょっと前から Apple Review (Mac App Store でアプリを配布するための事前審査)にトライしていた。

で、本日、HorliX 、Apple Review を通過しました。

めでたい。

これで、私が「リリース」ボタンをポチれば、世界155カ国に HorliX が配信されます。

関係者と協議して、実際のリリース日を決めたいと思います。

 

Mac App Store

関係者といってもフェイザー(合同会社。私が以前に設立した会社)関係者しかいない。共同開発者に許可を取ってリリースボタンをポチる。

細々としたことを片付けて数時間後に確認したら Mac App Store での配信が始まってました。

さて、どうなりますか。

 

国内ユーザー第1号

MacAppStore に上げて2日目?くらいであっただろうか早速このような反応があった。

まったく大変でした そしてHorliX

これは嬉しい。

 

 

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世界デビュー

医師ならば、DICOM 画像ビューアの OsiriX には一回くらいは触れたことがあると思うが、近年、高額化が進んでおり、私の周囲では OsiriX 5.8 からフォークした Horos ユーザが増えている(こちらは無料)。

Horos は通常の使用、つまり 2Dビューアで画像を閲覧するとか、簡単な 3D 画像を構築するとかといった用途であれば、ほぼ問題なく使える。ただし、動作が不安定であったり、日本語が使えなかったりして、特に日本での普及の妨げになっていた。

私が放浪している間、手持ち無沙汰であった(と思われる)私の仲間がこれらの問題を解決しにいってくれた。具体的には、日本語リソースを追加したり、読めない画像を読めるようにしたり、といったことだ。

私もこの5月くらいからこの動きに合流。手始めに ROI 周りのUI の改変をまとめた

この改良を Horos 本体の方々が気に入ってくれたらしく、この度、私たちのコードが Horos 本体に取り込まれる運びとなった。

インストール後すぐに使えるインストーラー版では、この取り込みはまだ反映されていないのだが、先日更新されたソースコード上では既に結果は反映されている。こんな感じ。

ありがたいことに私の名前も PHAZOR, LLC (=フェイザー合同会社の英文表記)とともにクレジットされている。

OsiriX のユーザー数40万人には負けるとはいえ、世界170ヶ国、12万人が使っているソフトに貢献者として名前が載るというのは、光栄というか嬉しいというか、とにかく良い気分だ。

英文査読誌のファーストオーサーになった場合にも似たような感覚が沸き起こると思うが、こちらはやはり専門家向けだし、医療者の日常業務に直接役に立つということはそう多くないので、その分だけ喜びも抑制される感じはある。内なる充実感という意味ではこちらの方が上かもしれないが。

今回の改変では、ROI 操作時の UI に手を加えたので、ユーザーが直接使う機会もそれなりにあるはずだ。だから「気に入ってもらえるだろうか」とか「さらなる改良を求められるかな」などと想像が膨らみ、その分、わくわく感がある。もちろん、気に入ってもらえない可能性もある。だが、そういったネガティブな反応でも直接的であるが故にある意味嬉しい。

Horos にしても、そこからさらに派生させた HorliX にしても、「メーカーの押し着せではなく、自分たちが必要なものは自分たちでつくるんだ」という強い意思が込められているし、それが旺盛な開発ペースの源になっている。

こういうアプローチに興味を持たれた方には、ぜひとも使って欲しいと思う。

 

猪股弘明


なお、「OsiriX と Horos と HorliX の関係がわかりにくい」という声をたまに聞く。ANN2b さんが、

HOROS -WIKIPEDIA 風解説-

HORLIX -WIKIPEDIA 風解説-

に簡潔にまとめてくれているので、そちらをご参照のほどを。

 

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他人と何かを「共有」するということ

長らく放置していましたが、そろそろ手を入れていきたいと思います。

最近、嬉しかったのは以前に書いた症例報告(A case of schizophrenia successfully treated by m-ECT using ‘long’ brief pulse)が引用されたのを見つけたこと。

修正型電気けいれん療法により精神症状の改善がみられた薬物治療抵抗性のレビー小体型認知症の1例』Dimentia Japan

が、それ。

 

内容は「レビー小体型認知症(DLB)にm-ECTを施行したらけっこうよかったよ」というもの。

 

…DLB における神経変性や神経細胞脱落が S-D 曲線の右方シフトを引き起こすと仮定すると、mECT によるけいれん発作の閾値を上昇させる可能性がある…

 

 

素朴だが、的を得た考察。右方シフト仮説は、体裁を整えるために5分ででっちあげたことは内緒にしておこう(笑)。

 

以前にも京大の先生方が引用してくれたし、関西を中心に私の方法論広まってないか?

逆に変なのは、この方法論の発祥の地である松沢病院でなぜかこの方法論が定着していないこと。(それともこっそりやってんのかな?)
冷静に考えるとおかしいよね。

ペーパーの類はよく「名刺」に例えられる。パブリッシュされたものだから、外からこう見られたいという思いがそこには詰まっている。そのリファレンスに自分の名前が引用されているのは嬉しいし、内容が適切に接木・シンクロしてあればなおさらだ。そのシンクロの連鎖こそが「共有」の真髄であるように思うのだが、どうだろう?

【参考】ECT における long brief pulse の話題や HorliX (という医療画像ビューア)との絡みに関しては、

RAW ファイルを読み込む -ECT のシミュレーション結果を表示-

に書いたおきました。よろしければご一読ください。

 

 

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OsiriX をソースコードからコンパイル・ビルドする方法

医療と理工系分野の接点ということで前々から医療画像の分野には興味があった。

Windows では、K-Pacs などフリーの DICOM ビューアーがけっこうあるが(K-Pacs はその後、開発はストップしている。Horos開発ストップしそう)、このたび Mac を購入したので色々できそうなOsiriX を導入してみることにした。
32ビット版を使ってみてけっこう使えることが判明したので、今後の勉強のため?にソースコードからコンパイルことを試してみた。まず、開発者ページに飛ぶ。

HowToInstall

えーと、たぶん現時点での最新版である Xcode 4.3 では上のようにやってもうまくいきません。
なんですが、Mac は操作も慣れていないのになぁ~とぶつくさいいながらも、試行錯誤してなんとかコンパイル→ランまでできました。

RunOnXcode4-3

ポイントは、

(1) Xcode4.3 では、直接 SVN(SubVersioN) が使えるのでそこからソースファイル群を読み込んだ方が初心者には楽。

(2) Xcode4.3 では、スキームをセットしてターゲットを決めるので select & run という操作の表現自体が不適切。

(3) ‘Development’ target なんてできないので、ここで発想を変えて product をビルドできるような自然な手順を考える。

といったところでしょうか。

あと、なんでインストールするのに一見わかりにくい2段階の方法を取るのか考えてみるといろいろ勉強になるかと思います。

【追記】OsiriX オープンソース版のビルドに関しては、新しい記事があります(HorliX 開発ブログ『OsiriX Lite の現在』)。ビルドしても使えるかというと微妙なんですが。

【追記2】その後、HorliX というプロジェクトを始めました。
Horos に contribution
→ 分岐・独立(64bit 化して Mac AppStore で公開・配布)
→ 世界的にもそこそこ売れる
→ が、どこぞからか反感かったかアップルサイドの判断で公開中止
→ でも引き合いはあって直接配布に切り替える
→ マイナーアップデートを繰り返し、なんとか Catalina・BigSur でも動いている
というような流れできています。

 

猪股弘明(医師ですが、前職エンジニア

 

 

医療画像処理

某企業より依頼があったので、CTやMRIなどの医療画像から特定の臓器だけ抽出するソフトを試しにつくってみた。

ささっとつくったにしてはなかなか。
ポイントは「閾値処理だけでは狙った臓器だけを絶対に抜けない」ということに気がつくかどうか。

ただ、任意の臓器で精度よく抜いていくのはかなり面倒だと思う。

(追記)この手の技術は CAD (Computer-Aided Diagnosis) というらしい。日本医用画像工学会の CAD コンテストというのがこれに近いことをやっていた。良くも悪くもこの分野の現状がわかる。

(追記)この機能、 HorliX や Horos や OsiriX のプラグインを使って実現できないだろうか?

猪股弘明
HorliX: developer
Horos: contributor
OsiriX(OpenSource Ver): contributor