gifted -ギフティッド-

gifted は近年、持ち上げられる風潮にある。最近だと、NHKでも取り上げられていた。

知られざる天才 ”ギフテッド”の素顔

だが、ここで紹介されている人のなかにはいわゆる自閉症スペクトラム症の方がけっこういるような…。

児童思春期の病棟などでは IQ=130 くらいはけっこういる。(たいてい動作性IQが130を超えていても、言語性がね、ううむ)
では、そういった人が大成するかといえば必ずしもそんなことはなく、けっこうネックになるのは好奇心の対象が限定されてしまうこと。
例えば、ゲームに興味があるという患者さんはけっこういるが、「ゲームをつくるのは興味があるかな?」と誘導しようとしてもけっこう抵抗を示す。
社会的な評価を得るためには、自分の好奇心の対象がその分野のなかでどのような意味を持つか、より一般的な性質を持っているか、といった新規性や進歩性、有用性に関する検証は自分でおこなわければならない。そういったことを自覚して自分の能力をコントロールしながら知的な活動をおこなっていくのは、別の努力が必要なのだと思う。

 

猪股弘明(精神科医)

幻聴はお国によって違うんだそうで

この記事

Hallucinatory ‘voices’ shaped by local culture, Stanford anthropologist says

によると、統合失調症の幻聴は、文化によって差があるそうです。
・アメリカでは叱責するような感じ
・インドやアフリカはどことなく遊び心がある
そうです。
でも被害的になっている場合はどこでも「いきてる価値がない」くらいだと思うけど。

なお、山形の某神経内科の先生によると「側頭葉てんかんのpsychic seizureにも文化(宗教)の差があるんですよ」だそうです。facebook で教えてもらいました。

 

猪股弘明(精神科医)

 

一例モノ

ECTに関する超絶マニアックな症例報告を某国研究者向けSNSに置いておいたら、100 回読まれたとか。
いわゆる一例モノなのだが、ガイドライン的な治療戦略がうまくいかなかった時、後ろ向き研究の類より一例モノの方が役に立ったりする。
個々の症例から出発して、一般的なところに抜けていく、というのが臨床の面白みの一つではないかと私なんかは思うのだが、世界に 100人くらいは同様の考え方をしてくれている人がいたようで嬉しい限り。

・・・などと言ってたら、いつの間にか 200 回読まれてた。

加速かかっている感じですね。

300回到達。

 

日本でどのように普及していったかは、『エゴサ -精神科・ECT 関係-』(ブログ「HorliX とか OpenOcean とか」)などもご参照ください。

 

 

猪股弘明 精神科医

東京都医学総合研究所客員研究員

精神病院と『眠れる美女』

精神病院での当直話などを少々…。

精神病院は慣れないと食欲も出ないという人も多いようだが、鉄格子から吹く風に心地良さを覚えるくらいでないとやっていけないと思う。
今日の当直の検食。鯵の南蛮漬けがけっこう美味。

検食後、「死にたい」と訴える60代男性を診察。聞けば性的能力が衰えてきて色々なことが楽しめくなったという。興味の減退(+)、自責の念(+)…etc
→傾聴
が基本なのだが、ここら辺が当直のいいところ。時間を気にせず 30 分ほど加齢と性の問題について患者さんと話し合う。認知の歪みをさりげなく修正。さらには、この手の問題を苦手としてそうな女性看護師さんに後期川端文学における老人と性のモチーフなどを語る(『眠れる美女』のあらすじだけでも知っていて損はないと思う)。最後にこの問題を解決してくれそうな現実的なプランを提示。
患者さんも興味を示したようだが「お金は後見人が管理していて・・」と困難感を訴える。だが主体的な解決法を自ら考え始めたことを肯定的に評価し、そのことをお伝えする。スタッフに今日聞いたことを伝えて良いか確認を取る。「女性看護師さんに知られると恥ずかしい」と主張したため、男性スタッフ限定で情報の共有の了承を得る。
意外に早期解決するのではなかろうか。

猪股弘明(精神科医)


初出は facebook。タイムラインで流しましたが、デリケートな部分もあるので適宜表現を変えています。

東京都立 松沢病院

諸々の打ち合わせのため、数年ぶりに、世田谷区上北沢へ(ただし、最寄り駅は京王線八幡山駅になります)。

実際には、病院の方ではなく「真田丸」的な位置付けの組織に用があった。その話は機会があれば、おいおい。

松沢病院といえば、例えば、こんなAA(アスキーアート)の

モデルになった病院で、ひそひそと名前が知られている割に実際訪れたことがある人がそんなには多くはないんではなかろうか。(なお、「東京精神病院」なる病院は実際には存在しない)
以前は、分棟方式の古典的な精神病院といった体であったが、2012年に改築されメインとなる診療棟はアイキャッチのようなかなり「綺麗」な建物になっている。

所用を済ませてからは、周囲などを散策した。

 

ここが「将軍池」というところ。もっとも松沢らしい風景でしょうか。

以前は、院内に入らないと近くまで寄れなかったのだが、近年、公園ができて、そこからでも観賞できます。

アヒル、私のいた頃より、殖えてない?

 

(追記)ところで、松沢といえば「東大精神科のお膝元」というくらい東大との結びつきが強かった。
なんだが、2021年4月1日より、東邦大精神科の教授であった水野雅文先生が院長に就任された。

https://www.byouin.metro.tokyo.lg.jp/matsuzawa/aboutus/greeting.html より

これには一同びっくり。

いやあ、変われば変わるものですね。

 

 

猪股弘明(精神科医)