Monster Pseudo-Developer in Dolphin -電子カルテログ出力に関するブログ記事から-

オープンソースのプロジェクトでは、一般に誰でもが参加可能ですが、それゆえ、しばしば開発者と「開発者を自称する者」の区別がつきにくくなります。

かつて「オープンソース」とされていた OpenDolphinという電子カルテのプロジェクトがありました。
しかし、実態は「オープンソース」とは名ばかりの「期間限定でソースコードを公開していただけ」のプロジェクトと今では考えられていると思います。
また、広報などの際に対外的には「現役臨床医が開発に関与した」といったアナウンスされていましたが、現在では名義貸し程度の関わりであったことが推測されています。
そのため、今では同プロジェクトを『壮大な虚構』と形容する人さえいます。
ただ、『壮大な虚構』という枠だけでは収まらないような何かがあったようにも思いますので、そのことに関して考察します。

あるクリニックのブログから

岡垣腎クリニックという診療所が、そのブログで電子カルテのログ出力に関してエントリを書いています。

この後に展開する議論にちょうどいい例と思われるので、解説を加えていきます。

要するに、監督官庁の監査に対応できるようカスタマイズを入れたかったが、開発元でもできなかったという主旨です。

クリニックなど医療機関は、カルテに関して保健所の監査を受けるんですが、疑義が生じた場合、追加の資料の提出を求められることがあります。

外来業務に関しては、それほど多くないと思いますが、透析機器のある施設では、場合によっては、その時、医師が立ち会っていたかを確認できる資料を提示しないといけない場合があります。

精神科だとデイケアなどがそうでしょうか。

電子カルテをよほどカスタマイズしてないと専用の記録ページなどないでしょう。
ない場合は、通常カルテに「デイケア視察。○×さんが、やや興奮気味」などと記載することで代用することになると思います。

ただ、こうなるとそれが本当にその時の記録なのか示す必要があります。
(後で追加記載するは当然ダメ)
過去カルテの修正履歴を時系列順に提示するなどの工夫が必要でしょう。
電子カルテの仕様的にそこまでできない場合、ログ記録の提示が求められるかもしれません。

上のブログエントリはそういう状況を想定して書かれていると思います。
ログ記録(透析しているときに医師がログイン状態であったかなど)の開示を求められたと。

2017 時点で、本家 OpenDolphin はカルテの修正履歴の出力もログ記録の出力もできなかった、ということが読み取れます。

HTML/PDF Viewer

われわれが、移行ツールHTML/PDF Viewer を開発したのは、こういった背景があるからです。

修正履歴などの提示を求められた際にデータベースから、直接カルテの過去バージョンを抜いてくれば、最もわかりやすいでしょうと。

ほとんどの臨床医にこの考え方は受け入れられたように思います。

ただ、これに異を唱えた人たちもいます。

「増田ファクト」の作者とされていた和歌山増田内科の増田茂医師と「増田ファクト」を取り扱っていた広島システムクラフト社の杉原利彦氏などです。

彼らの主張は「クライアントの PDF 出力機能があるから、データ移行ツールの類は不要」というものです。

確かに、クライアントの PDF 出力機能を常時オンにしておけば、カルテ記載内容は時系列でも追えるかもしれません。

ですが、考えてください。

ノーマルの PDF は編集可能なフォーマットで、それ自体、改ざんは容易です。
また、記録の集積体は、ファイル単位となってしまうため、偽造したカルテ(ファイル)を後でその集積体に入れ込むことも可能です。

これでは、電子カルテの真正性どころか保健所の監査にも耐えられないでしょう。(だから、上記のクリニックはドルフィンの使用をやめたわけです)

驚くべきことに彼らは 2022 年にガイドラインでバックアップツールの具備などが明確化されるまで、この主張をやめませんでした。

なぜ、彼らは行政機関も含めて関係者からまったく賛同の得られない主張を繰り返していたのでしょうか?

Monster

すぐに思いつくのは、独立したソフトを作成するだけのスキルがなかったということでしょう。

しかし、それならば、
「増田ファクトには、現時点では、修正履歴を閲覧できるようなツールはないが、他にツールを開発しているところはあるので、そちらを使ってくれ」
あるいは
「必要性は認識しているので、将来的に提供する予定である」
とでも答えておけばよかっただけの話です。

そういえなかった理由として「増田茂・松村哲理などは開発者とされていたが、名義を貸しただけで実際には開発業務にあたっていなかった。+アルファの独立したソフトを制作できる技量は当然持ち合わせていないし、今さらそういった背景を含め諸々を人前で認められないから」というような心理面に重きを置いた推論をする人は多いようです。

しかし、それだけでしょうか?

大枠としてはそういうことなのでしょうが、最近よく言われているのは「彼らの思考方法は、ある種の精神障害者でみられる魔術的思考に似ている。理性では推し量れないような何かがある」といったことです。

それはとても一言では言えるシロモノではないため、まずは、目についたものを思いつくままあげていきます。

正常性バイアス?

自然災害時に正常性バイアスのことはよく言われるようになりました。
現実的には切迫した危機が迫っているのに、その不安を打ち消すために「これはそれほどまでの事態ではない。だから慌てなくて大丈夫だ」と真逆の認識を持ってしまうような心の作用のことです。
実は、商用版がリリースされた直後から、「ドルフィンは真正性を満たしていないのでは?」という疑問の声は上がっていました。

図は『いるかは言葉を覚えたか?』より。 https://allnightnihon2b.net/blog-jp/?p=1316

設計的にはカルテを一文字変えて確定しただけでも、そのバージョンはデータベース上に保存されています。しかし、任意のバージョンを取り出すツールは商用開発元にもなく、現在の観点から見ると「基準を満たしていない」と言えるでしょう。
確かに 2010 年代前半くらいまでは「カルテ文字情報が電子化されていれば電子カルテ」と名乗れた雰囲気はありました。
ですが、2018 年頃より事情は変わってきました。
この頃よりクラウド型ブラウザタイプの電子カルテが急速に普及し始めましたが、この手の新興電子カルテには、曲がりなりにもカルテ修正履歴を出力する機能が備えています。
厚労省もいわゆる BCP(Buisness Continuity Plan 事業継続計画) の観点から、データのバックアップ方法などの検討が始まっていた時期です。
統計的なデータはないと思われますから印象でしか語れませんが、冒頭の透析クリニックの事例からもわかるように保健所の監査なども厳しくなっていったように思います。
この頃になっても、「バックアップツールは不要。クライアント PDF 出力機能だけで十分であり真正性も満たされる」と主張をするのは、何か異様に感じます。
単なる自己顕示欲(PDF 出力機能は増田氏が作成していたことになっていた)では片づけられない何かー正常化バイアスに似た何かーがあるように思います。

contributor コンプレックス

彼らは異常なまでに contributor (通常のオープンソースプロジェクトではソースコード提供者をこう呼ぶ)という立場に拘ります。

特に増田氏は、メドレーに事業が譲渡された後でも(開発者を名乗る権利が消滅した後でも)、自分が開発者であると自認していました。

これはかなり奇異に感じます。

オープンソースに興味を持つような人なら、誰でも contributor や「開発者」になりたいという気持ちを持つのは自然なことでしょう。ひとたび、そのポジションを手に入れたら、その称号を手放したくないという心情もある程度は理解できます。

しかし、なんらかの代償を支払って契約上の権利としてその肩書きを持っていたに過ぎないのであれば、その権利が消滅した場合、その権利を主張することは、通常はしません。一般には契約違反と考えられる行為だからです。

肥大化した自我が持つ過剰なまでの承認要求?
ある種のコンプレックス?
これもそういったものでは収まりきれない何かがあったように思います。

なお、ある種のコンプレックスに支配されたその場にそぐわない行動は、人格障害圏の患者などでしばしば見られる特徴です。

魔術的思考

通常の理性や論理的思考では、発想できない奇異な思考を心理学方面で魔術的思考と呼ぶことがあります。
健常な人ならば因果関係が見出せない事象に関係性を見出し(例えば「カバンのチャックを3回開け閉めすると、病気にかからない」など)、それで納得してしまうような思考のことです。

これに該当する例が『横から見た OpenDolphin-2.7m』で紹介されています。

トライアル版であるが故の特徴(属性)を強引に別のソフトにも当てはめて推論しており、明らかな概念の混交が見られます。

魔術的思考は、精神障害領域では統合失調症・境界知能・知的障害などで見られるとされています。
ただし、健常人であっても生育段階などはしばしば見られますし、成人しても例えば入眠時・覚醒時などでは普通におきていることです。これ自体が異常ということではありません。しかし、訂正不能な確信を持って公衆の面前で主張するのは異常と言っていいでしょう。

壮大な虚構の中にあった何か

ドルフィンプロジェクト自体は今から見れば『壮大な虚構』とでもいうべきものですが、その内部では通常とは異なるような力動が生じていたように思います。

ここでは、便宜的に、正常性バイアス・cotributor コンプレックス・魔術的思考と名付けましたが、この呼び方が適当であるかどうかはわかりません。

ただ、通常の物差しでは測れないような何かは確かに存在していたように思います。

 

出典・参考

電子カルテ変更

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“Monster Pseudo-Developer in Dolphin -電子カルテログ出力に関するブログ記事から-” への3件の返信

  1. あまり誰も触れませんが「Issue にも書いたけど」とあるように他人に自分の意見を強要するあたりが、ああ・・という感じです。
    なんでこんなことアピールするんだろうか。

    1. >あまり誰も触れませんが「Issue にも書いたけど」とあるように他人に自分の意見を強要

      言われてみればそうですね。
      ただ、当事者としては、そこら辺の判断は難しいです。
      かつて弁護士さんに相談した時には
      「オープンソースなど技術的な内容に関してはよくわからないところはある。
      ただ、書かれている形式・論理構成から考えて知的レベルは低い。
      医師本人が書いたのではなく、それを騙った別の人だとは思う。
      このような場合、裁判上の戦略として精神障害を主張して逃げることが多い。
      日本の場合、名誉毀損云々の金銭的な対価が低い上、精神障害を主張して
      情状酌量を嘆願した場合、費用の方が高くつく。
      法的な観点からは、放置するか、対論として反論を公開するかの方がいい」
      と言われてます。

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