ところで、そのときデバッグしたソフトを、この前、たまたま、ネット上で発見した。

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ところで、そのときデバッグしたソフトを、この前、たまたま、ネット上で発見した。
IT が本格的に活用されるようになって、日常生活やオフィスでの働き方は様変わりした。その延長線で、IT の次の適用範囲の一つとして医療分野がよく挙げられるけど、この分野はそんなに簡単にはいかないんじゃないのと私なんかは思う。
例えば、アップルの healthcare 分野に関してこんな記事があった。
『Appleはユーザーのすべての医療記録をHealthアプリに収めたい…協力医療機関とベータテスト中』
言おうとしていることはわかりやすいし、実際こういうアプリがあれば便利なんだろうなとは思う。
だが、これでその後の全ての医療行為がまかなえるかといえば、そんなことは当然ない。
そこに掲げてあるのは、既往歴とでもいうべき情報で、現在の病状の評価にそれだけでは直接役に立つものではない。
また、アップルのアプリに収められるのは、見ている限りではテキスト情報に限られる。当たり前だが、医療情報はすべてテキストからなるものではない。例えば、画像。医療分野に進出した新規参入組がまずぶち当たる壁が PACS との連携などである。
この記事はそういったことに全く触れられていない。
なお、HorliX の AppleReview 時のコメントを掲げておくとこんな指摘があった。
We are unable to complete the review because we require sample files to fully access your app’s features.
少なくとも apple のレビューチームはまともな DICOM ファイルを持っていないのだ。本気でヘルスケア分野に進出したい企業がこういうことはやらないと思う。
上記の記事は、アップルのアプリは、FHIR (医療記録交換のための統一フォーマットの一つ)レベルならなんとかなる、くらいに理解しておくべき内容だろう。変に持ち上げる必要はないと思う。
DICOM Viewer Horos は、ほんの数ヶ月前までは日本語対応されていなかった。惜しいと思った僕らのグループが、メニューなどを日本語化、さらに完全 64bit 化対応など改良を加えた。それが HorliX (ホーリックス)だ。
HorliX は、海外、特に研究家筋に評価されているようで、これを受けて僕らも Mac App Store を通じて配布しようと考え、ちょっと前から Apple Review (Mac App Store でアプリを配布するための事前審査)にトライしていた。
で、本日、HorliX 、Apple Review を通過しました。
めでたい。
これで、私が「リリース」ボタンをポチれば、世界155カ国に HorliX が配信されます。
関係者と協議して、実際のリリース日を決めたいと思います。
関係者といってもフェイザー(合同会社。私が以前に設立した会社)関係者しかいない。共同開発者に許可を取ってリリースボタンをポチる。
細々としたことを片付けて数時間後に確認したら Mac App Store での配信が始まってました。
さて、どうなりますか。
MacAppStore に上げて2日目?くらいであっただろうか早速このような反応があった。
これは嬉しい。
医師ならば、DICOM 画像ビューアの OsiriX には一回くらいは触れたことがあると思うが、近年、高額化が進んでおり、私の周囲では OsiriX 5.8 からフォークした Horos ユーザが増えている(こちらは無料)。
Horos は通常の使用、つまり 2Dビューアで画像を閲覧するとか、簡単な 3D 画像を構築するとかといった用途であれば、ほぼ問題なく使える。ただし、動作が不安定であったり、日本語が使えなかったりして、特に日本での普及の妨げになっていた。
私が放浪している間、手持ち無沙汰であった(と思われる)私の仲間がこれらの問題を解決しにいってくれた。具体的には、日本語リソースを追加したり、読めない画像を読めるようにしたり、といったことだ。
私もこの5月くらいからこの動きに合流。手始めに ROI 周りのUI の改変をまとめた。
この改良を Horos 本体の方々が気に入ってくれたらしく、この度、私たちのコードが Horos 本体に取り込まれる運びとなった。
インストール後すぐに使えるインストーラー版では、この取り込みはまだ反映されていないのだが、先日更新されたソースコード上では既に結果は反映されている。こんな感じ。
ありがたいことに私の名前も PHAZOR, LLC (=フェイザー合同会社の英文表記)とともにクレジットされている。
OsiriX のユーザー数40万人には負けるとはいえ、世界170ヶ国、12万人が使っているソフトに貢献者として名前が載るというのは、光栄というか嬉しいというか、とにかく良い気分だ。
英文査読誌のファーストオーサーになった場合にも似たような感覚が沸き起こると思うが、こちらはやはり専門家向けだし、医療者の日常業務に直接役に立つということはそう多くないので、その分だけ喜びも抑制される感じはある。内なる充実感という意味ではこちらの方が上かもしれないが。
今回の改変では、ROI 操作時の UI に手を加えたので、ユーザーが直接使う機会もそれなりにあるはずだ。だから「気に入ってもらえるだろうか」とか「さらなる改良を求められるかな」などと想像が膨らみ、その分、わくわく感がある。もちろん、気に入ってもらえない可能性もある。だが、そういったネガティブな反応でも直接的であるが故にある意味嬉しい。
Horos にしても、そこからさらに派生させた HorliX にしても、「メーカーの押し着せではなく、自分たちが必要なものは自分たちでつくるんだ」という強い意思が込められているし、それが旺盛な開発ペースの源になっている。
こういうアプローチに興味を持たれた方には、ぜひとも使って欲しいと思う。
猪股弘明
なお、「OsiriX と Horos と HorliX の関係がわかりにくい」という声をたまに聞く。ANN2b さんが、
に簡潔にまとめてくれているので、そちらをご参照のほどを。
電子カルテのテキストマイニングに関連して。
MENTAT というのがあるらしい。
https://www.mentat.jp/jp/service/
精神科カルテからテキストデータ抜いてきて IBM ワトソンで解析、治療の難しさなどを評価・予測しカンファレンスなどで使われるらしい。
だからどうしたと言われそうだが、未来感みたいなのはある。
問題は予測精度だと思うので、関係者に問合せ中。
なお、私自身も OpenDolphin-2.7m というオープンソースの電子カルテの開発者なのだが(経緯は『OpenDolphin について』で)、医療関係者からそこそこ評価されているのはカルテ記載内容をプレーンテキスト(UTF-8)に書き出すファイルバックアップシステムを実装した点だ。
もともとはクライアント-サーバ間で通信障害が発生したときの臨時記録手段としてこの機能を付け加えたのだが、カルテ記載データの2次利用にも使えるのでは?という声も上がっている。
これに関しては検討中。
猪股弘明(精神科医)
その後、自然言語処理などにも実際に手を出す。
→『OpenOcean』や『 juman++ で分かち書き』など。
雰囲気つかめますかね?