gifted -ギフティッド-

gifted は近年、持ち上げられる風潮にある。最近だと、NHKでも取り上げられていた。

知られざる天才 ”ギフテッド”の素顔

だが、ここで紹介されている人のなかにはいわゆる自閉症スペクトラム症の方がけっこういるような…。

児童思春期の病棟などでは IQ=130 くらいはけっこういる。(たいてい動作性IQが130を超えていても、言語性がね、ううむ)
では、そういった人が大成するかといえば必ずしもそんなことはなく、けっこうネックになるのは好奇心の対象が限定されてしまうこと。
例えば、ゲームに興味があるという患者さんはけっこういるが、「ゲームをつくるのは興味があるかな?」と誘導しようとしてもけっこう抵抗を示す。
社会的な評価を得るためには、自分の好奇心の対象がその分野のなかでどのような意味を持つか、より一般的な性質を持っているか、といった新規性や進歩性、有用性に関する検証は自分でおこなわければならない。そういったことを自覚して自分の能力をコントロールしながら知的な活動をおこなっていくのは、別の努力が必要なのだと思う。

 

猪股弘明(精神科医)

自閉症の『高密度集中治療』

ちょっと古い記事だが、こういうアプローチもあるのかなと関心。

 自閉症の子供たちの半数が社会生活ができるまでに改善するとして注目される「高密度集中治療」の効果を脳科学の視点で検証する研究が始まった。脳でどういう変化が起きているかを調べ、効率的な治療や教育に役立てる。

 自閉症は、言葉が遅れ、対人的なコミュニケーションが上手にとれない広範な発達障害。脳の障害が原因と考えられている。

 高密度集中治療は、5歳以前の子供を対象に、〈1〉いすに座らせる〈2〉物とそれを表す言葉を一致させる〈3〉お絵かきや工作をする〈4〉言語をまねる〈5〉行動を言い表す――など、様々な課題(刺激)を簡単なことから次第に難度を上げながら与える治療、教育プログラム。1人に対して、専門家がチームを組んで、週30〜40時間、集中的な治療を続けるのが特徴。課題に対して正しく反応できた場合には、みんなで最大限にほめるなど、正しくできなかった場合と差を付けて、子供のやる気を高める。

 米カリフォルニア大のロバス教授が1987年、19人の自閉症の子供を2年間治療して9人が通常学級に通えるまで症状が改善したと発表して注目された。

 日本でも、上智大元教授で、NPO「教育臨床研究機構」理事長の中野良顯(よしあき)さんらがこの治療に取り組んでいる。数年間、治療を受け、今、通常学級に通う小学校3年生男児の母親は、「最初の3、4か月の劇的な変化にびっくりした。多少自閉症的な傾向は残るが、ここまで将来の可能性が開けるとは思わなかった」と喜ぶ。

 ただ、この治療は手間と時間がかかることもあって、あまり普及していない。国内では治療や行動の修正より、自閉症の特徴を周囲が良く理解して、受け入れることに、力点を置いた取り組みが主流だ。

 今回の研究は、北澤茂・順天堂大教授(神経生理学)と中野・元教授らが中心になり、治療を受ける3、4歳の自閉症の子供の行動を、専門医が数か月おきにチェックして、効果を客観的に評価するとともに、赤外線に近い光を使って脳機能の変化を調べる。

 また、家族が中心になって治療する試みも始め、専門家の治療と効果を比較して、家庭でも手軽に実践できるか、検証する。

 北澤教授は、「自閉症の治療はいくつかあるが、科学的な証拠が十分とは言えない面があった。脳科学の成果を生かし、治療時間の短縮、手法の改善など、よりよい自閉症の治療法開発につなげたい」と話している。(長谷川聖治)

(2007年1月31日 読売新聞)

 

小児精神に興味を持つ医療者ならば、目に留まる記事だ。
しかし、いったい誰が音頭をとってやってる研究なんだ? NPO?
それはともかく自閉症やアスペルガーの知見が蓄積されていくのはけっこうなことなのだが、逆に現場で困るのは、「大人」のADHDやアスペルガー障害が事後的に見出されてしまうことだろう。

 

猪股弘明(精神科医)