MacOS に elmo + やねうら王 + 将棋ぶらうざQ を「clang」で導入

ひさしぶりの将棋ネタ。
Mac を触る時間が長くなってきたので、将棋 AI も刷新したくなったから(過去に「技巧」を入れてます)。

導入方法の基本的な流れ自体は、
Mac にコンピュータ将棋ソフト「elmo」を導入した
MacOS に elmo + やねうら王 + 将棋ぶらうざQ をインストールする
あたりをご参考に。

ただ、やねさんの Makefile を見たら、

# clangでコンパイルしたほうがgccより数%速いっぽい。
#COMPILER = g++
COMPILER = clang++

 

とデフォルト設定で clang になっている。
何もわざわざ gcc に変えなくても良いのでは?
(ただし、llvm は諸々の事情で ver10 を使ってますが、デフォの llvm でも実行ファイルはできてました。gcc とか llvm とかよくわからんという人はこちらなども参照ください)

あとは、標準ライブラリを stdlibc++ ではなく libc++ に変えただけ。

こんだけで、一応、ビルドできましたが。

 

なお、アイキャッチは、藤井(聡太)-渡辺(明)棋聖戦第二局で藤井七段(当時)が△三1銀打と金取りを受けたところ。

 

解析させると AI 的にもここから流れが変わったのがわかりますね。

 

 

air-h-128k-il

 

WCSC 2018

本日(2018/05/03) から、世界将棋コンピュータ選手権(wcsc)が始まった。

前にも書いたが、コンピュータ将棋の二大タイトルには電王戦とこの wcsc があり、今回はハード制限なし何でもありの方の wcsc である。

今年の見どころのひとつとしては、Deep Learninng 勢がどの程度の戦果をもたらすか?というのがある。

今回は、フランスから crazy shogi というチームが出場し、それなりに注目を集めている。日本では、dlshogi が Deep Learning 勢の筆頭格とみなされている。

さすがに今日の一次予選から全対局をチェックしていく、というのは厳しいが決勝リーグあたりはライブで視聴したいと思う。

予習がてらアピール文書をちらちら眺めるのも楽しい。

1次予選

結果は、

1.PAL
2.Hefeweizen
3.Novice
4.名人コブラ
5.S.S.E
6.名人コブラ
7.dlshogi
8.Novice

dlshogi が7位に入り予選クリアとなった。おめでとうございます。なお、注目のもう一方の Deep Learning 勢、Crazy Shogi は、12位という結果だった。

世間では注目の新技術と喧伝されている Deep Learning であるが、今回はオーソドックスな機械学習の工夫で十分対抗できているようだ。




2次予選

1次予選突破組8チームにシード組8チームが加わって計16チームで2次予選。

結果は

1. たぬき…7勝1敗1分
2.Hefeweizen…7勝1敗1分
3.Apery…6勝2敗1分
4.PAL…6勝3敗
5.大合神クジラちゃん2…6勝3敗
6. 名人コブラ…5勝3敗1分
7.妖怪惑星Qhapaq…5勝3敗1分
8.HoneyWaffle…5勝3敗1分

たぬきさんチームが頭半分くらい抜けているものの基本混戦。

elmo が反則で3敗したことがちょっとした話題になった。

 

決勝リーグ

結果は以下の通り。

1.Hefeweizen
2.PAL
3.Apery
4.名人コブラ
5.たぬき
6.大合神クジラちゃん2
7.妖怪惑星Qhapaq
8.HoneyWaffle

見事優勝に輝いたのは、Hefeweizen (ヘーフェヴァイツェン)。ドイツ語で「白ビール」という意味ですね。チームには、昨年電王戦で活躍したショットガンの芝さんがいらっしゃるようです。

 

なお、なぜ私が将棋 AI に興味を持っているのかといえば、プログラミングにまつわる新技術がかなり早い段階で投入され、その結果も即座に評価できる点。開発の過程もみなさんけっこうオープンにしてくれているので、参考になる。

例えば、今回のDeep Learning が良い例。

もっと基本的な技術分野だと AWS を使った計算資源の活用などでしょうか。医療用の画像処理なぞモノによっては計算資源をバカ喰いするのだが、なぜかクラウドマシンを利用するという発想はなかったな。

もちろん勝負にまつわる人間ドラマも大好きです。

 

電王戦

将棋 AI 同士のメジャーな大会は2つある。

一つは、GW に開催される世界コンピュータ将棋選手権(World Computer Shogi Championship 略して WCSC)。もう一つは将棋電王トーナメント(Shogi Denou Tournament 略して SDT)。

一般の将棋ファンにも浸透してきた両者だが、性格付けが微妙に異なる。主催者や賞金などもそうだが、決定的に違うのはマシンスペックに関するレギュレーションだろう。

ざっくりいえば、WCSC は「計算機であればなんでも可」だし、SDTは 「ハード同一スペック縛り」だ。ユーザとしては、同一環境での評価関数の質や探索部の出来の良し悪しが知りたいところなので、実用的な意味では SDT の結果の方が気になる。

さて、今年の SDT であるが、11 月 11 日(予選)、12 日(決勝)に開催される。

個人的に注目しているのは、以前にもちらりと紹介した Yamaoka Tadao さんの dlshogi 。ブログの方もちらちら拝見させてもらっていたのだが、いやあかなり計画的に進めてらっしゃる。熟成度という点で古豪のソフトの後塵を拝するかもしれないが、しっかり出場までこぎつけただけでも凄いと思う。

思うに、将棋 AI つくってみようかと検討している人は潜在的には多いと思うが、今までのところかなりマニアックな人たちのみが参加しているような印象を受ける。Yamaoka さんのように他の分野でも一定の実績を持った方が参加してどの程度の結果を残すかというのは、そういった人たちにとって一つの指針になるだろう。