前回の記事で、
DNAR = いっさいの治療不要
ではない、ということを解説した。
しかし、これを「DNAR の同意を取ったのだから、積極的な治療は不要」というように誤解釈する人が残念ながらいるということ述べた。
この誤解釈は、結果的に、本来であれば治療可能な誤嚥性肺炎のような患者が適切な治療がなされぬまま返らぬ人となることがあることも述べた。
最後にこれが「お看取りビジネス」のようなほとんど犯罪といってもいい事態につながってしまうことに言及した。
DNAR誤解釈からお看取りビジネスへの道筋へは、少々説明が必要だろう。
この二つの事象を結ぶパーツが必要だ。
このパーツをなんと表現すればいいのかわからないし、少々不謹慎な言い回しに聞こえるのを承知で言えば「患者ご家族お気持ち最優先理論」と言えば言えるだろうか。
最初に言っておくと、この考えは良識ある医師からしたら反吐の出るような考え方だ。
患者ご家族お気持ち最優先理論
医師が受け持ち患者の治療方針を立てるにあたって優先するのは、医学的妥当性であったり、療養担当規則で示されている指針であったりする。
そして、病院を含めた保険医療機関は、この治療方針に沿って組織的に患者さんの治療にあたる、というのが基本的な枠組みだ。
(続く)