中学理科で学ぶ肝臓の構造と機能 ~がん細胞を撃つ!~

nomad
さて、中学理科肝臓シリーズ3話目(最終話)です。

うまく着地できるといいんですが。

 

がんのことを悪性新生物と呼ぶときがあるが、大学でその手の知識を学ぶまでこのニュアンスがつかめなかった。なんか体内に魔物でも飼ってるような感じで、そんなにひどいものでもないだろうと呑気なことを考えていたのだ…。

が、今はがんは「悪い生き物」なんだと思ってます、はい。中学理科の知識を利用してうまく伝わるかどうかわかりませんが。

 

肝臓まわりの図を再掲します。

おさらいですが、f が肝動脈、g が門脈で、「肝臓は肝動脈と門脈の両方から栄養の供給を受けている」のでしたね。肝小葉での両血管の走行を思い出してもらえばより理解は深まるかと思います。

ですが、これは組織が正常な場合です。肝臓内のがん組織はこの原則が成り立たず「肝動脈のみ」から栄養されています。

肝動脈の幹から造影剤を注入するとその先の肝動脈の走行を反映した造影写真が上のように得られます。三か所濃い陰影が見えますね。これががん組織が疑われる個所です。がん組織が血管を巻き込んでいる感じがしませんか?

ダメ押しで門脈系も造影してみましょう。(実際には上腸間膜動脈を造影しているのですが、意図はいっしょです)

写真上部中央に薄い円形の陰影が見えますね。この部分の組織には門脈は栄養していないことが推測されます。

「肝動脈は栄養しているが、門脈は栄養していない」というわわけでこの部分はがん組織であることが強く疑えるわけです。

この技術をさらに極めると肝の治療法に応用できます。肝動脈の根本までカテーテル(ここから造影剤を注入する)を進めたわけですから、さらにもう一歩がん組織を栄養している肝動脈の分枝までカテーテルを侵入させて、そこから抗がん剤を投与したり、何らかの仕方でその分枝を閉じてしまえば、かなり局所的ながん治療になると思いませんか?

 

以上、中学理科の血液循環模式図をベースにがん治療を無理くり解説してみました。なお、造影写真は医師国試からです。

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