Horos なんちゃって日本語化

Horos をインストールしたのはいいが、どうせなら日本語化したい。

Mac のことは詳しくないのだが、「OsiriX が日本語化されている以上、Horos でもできるはずだ」という単純な発想。まず、ファインダーで OsiriX.app を表示させ「内容を見る」→Contents→Resources と順に表示。

そしたら、ありました。 Japanese.lproj

あやしい。

おそらく、ここで国際化に対応しているんだろうと推測して、このフォルダを丸ごと Horos.app のContents/Resources フォルダに放り込む。そして、Horos 起動。

おお、日本語化されている。

とても正しい日本語化とは思えないが、今のところ問題なし。どの程度まで本体動作に影響するか不明だが、しばらくこのまま使う予定。(もう少し真面目に日本語化することにしました。下記参照)

それにしても、ここまで言うこと聞いてくれると Mac がだんだんかわいく見えてきた。マカーでもなんでもないが、安いのでいいから、新規に買っちゃおうかな。




 ちゃんとした日本語化

いつまでも「なんちゃって」ではまずいと思い正規の日本語化方法にしたがって若干必要なファイルを追加。ある程度日本語化しました。結果を github の

air-h-128k-il/HorliX

に上げておきました。HorliX と名を改めましたが、トライアル版を不定期に

HorliX Download Page

に上げてますので、必要な方がいたら落としてみてください。

とりあえず、アップデートアラートの類は出なくなりました。

本家にプルリクエスト送っておいたので取り込まれるかもしれません。→あっという間に取り込まれました。

日本語訳の検討はこちらでおこなわれています。

 

HorliX へ

日本語化以外にも、どこそこの UI を変えてくれ、SSL のサポートもしてほしいなどの要望があり、結局、上のリポジトリは、そのまま HorliX プロジェクトに発展しました。

ここまでやるつもりはなかったんですが、結局、電子カルテと DICOM Viewer/PACS の二つに手を出してしまったっていう…..。

 

「なんちゃって」日本語化は個人使用の範囲内で自己責任で 

コメント欄で指摘されて気がつきましたが、(オープンソース版ではない)OsiriX の日本語リソースは、開発元独自開発ですのでフリーでもなんでもなさそうです。再配布などはかなりまずいと思われます。(1回、調べたことありますが、各国ローカライズはかなりお金かかってます)
「なんちゃって」日本語化する場合は、個人使用の範囲内で自己責任でお願いします。

ところでコメント欄の


SUGIHARA

現在の OsiriX Lite には「Japanese.lproj」が無く「ja.lproj」のようです
「ja.lproj」をContents/Resources フォルダに放り込むと Horos が起動できなくなります
なにか対策ありますか?
或いは 「Japanese.lproj」をDL可能にしていただけませんか?


って、システムクラフト(サークルテック?)の杉原 利彦さんですかね。

ところで、この杉原さんによれば、私は horos プロジェクトの「自称」contributor なんだそうだが、一応、GitHub のシステムレベルでも記録はされており、世間的にも contributor ということで認知されていると思いますけどね。

北極圏コード貯蔵庫コントリビューター -Arctic Code Vault Contributor-

もの凄く貢献したってわけではないですが、ROI 関係なんて私のコードが基になってますし。

ROI

air-h-128k-il

(c) マークの謎

ネット上などでよくみかける (c) マークであるが、あれの意味について以前から気にはなっていたのだが、はっきりとした理解を持っていたわけではなかった。たぶん「著作権法で保護しますよ」的な意味合いで使われているのだろうと漠然と思っていたが、本当のところはどうなのだろう?

ちょっと調べてみた。

やはり wiki はよくまとまっている。

この (c) マークだが、法的な意味合いでは無意味らしい。

 

著作権者を表すコピーライトマーク「©」は、現在では、方式主義をとるカンボジア以外では著作権の発生要件としての法的な意味はないが、著作権者をわかりやすく表すなどのために広く使われている。

 

日本では、「著作物を創作した時点で著作権が発生する」と考えるため、表現したものが「創作的」であればこのマークは意味を持たない。

また、 著作したものがすべて保護の対象となるかというとならない。 wiki にもばっちり事例として取り上げられていたのだが、定型的な文章、例えば、

 

長い間ご愛読いただきましたBON TONは今月号(5月号)をもって休刊し、誌面を一新して7月発売で新雑誌としてデビューいたします。どうぞ、ご期待ください!!

 

は、保護の対象とならない。それはそうだ。こんなものまで保護の対象にしていては、まともな文章が綴れない。

さらに、著作権は「相対的独占権あるいは排他権である[7]。特許権や意匠権のような絶対的独占権ではない」。 要するに、異なる二人がほぼ同一の文章を書いて公開したとしても、それは両立してもいいってこと。歌謡曲などでも似たような節回しの曲が存在するがそれが「たまたま」なら、それはそれでかまわないわけで、実際、そういった事例は山ほどある。これが特許だと事情ががらりと変わる。後発には権利は付与されないので、事前に特許調査が必要になってくる。著作権と特許権を混同してはいけない。

以上、調べてみましたが、内容は常識的かつ妥当なものではないでしょうか。

 

Horos

DICOM server/viewer として OsiriX が有名だが、ソースからコンパイルしても32bit になってしまうなど制約がある。OsiriX ベースのオープンソフト Horos ではこのような制約はないという。MacBookPro(OS X Sierra) にインストールしてみたので、その覚え書き。

(ビルドには、実行環境の SDK が必要なので、事前に準備しておきましょう。

/Applications/Xcode.app/Contents/Developer/Platforms/MacOSX.platform/Developer/SDKs

で確認。なければ、別のバージョンの Xcode から持ってきて、上記フォルダ内にコピーしておく)

まず、github の horos サイトからソースをダウンロード。手に入れた horos-horos.zip を展開(慣れた方は git でどうぞ)。

その中にある Horos.xcodeproj を Xcode に読み込ませる。build setting で Base SDK を macOS 10.12 に指定。

build/Development に Horos.app ができるのでこれを起動。

試しに 3D レンダリングさせてみました。

けっこう安定している。これは使えるかも。

 

air-h-128k-il

 

電子カルテからの患者データ吸い出し 2

以前に電子カルテのデータ抽出の仕事をしたことがあるので、その話。

具体的な案件はこんな感じ。

数年間、A市で開業していたが、開業していた父親の突然の不幸があり、そちらを承継することになった。こちらとそちらの電子カルテにデータの互換性はない。何らかの形でそれまでの診療データを保管しておかなくてはならない。さて、どうする? といった案件。

ラッキーだったのは、使っていた電子カルテが OpenDolphin というオープンソースのものだったこと。データベースの構造をチェックし、ソースを読むと「ああ、これはいけるかな」と。

結論から言うと、データベース(PostgreSQL)からデータを吸い出し、文字情報はテキストファイルに、画像情報は画像ファイルに書き出すプログラムを書いて、これがうまく動いた。

元の dolphin のカルテ画面はこんな感じ。

で、変換プログラムの表示画面はこんな感じ。

元の dolphin の画面がかなり凝ったこと(java swing の JTextPane をカスタマイズして使用)をしていたため、そのあたりの処理をどうしようか迷ったが、画像が貼られていた位置にタグを打ち込む形で表示・保存させることにした。

上の図でいえば、元カルテのスズキジムニーの画像が表示されている箇所に
<image schemaholder 0>
というタグを表示させてます。

ならべくなら、カルテの書式情報も損失なく変換させたかったので。

というわけで、今回は電子カルテの実運用後の保管形態に関するお話でした。

ところで、噂に聞くに、電子カルテのデータ構造を秘匿化していわゆる「データを人質に取る」といった商売をしている業者もあるようです。 ビジネスだから、と思う反面、それっていわゆる電子カルテの3要件に違反するんじゃないの?といった感想も持った。なんかすっきりしてない。

こういった時に、適当なガイドラインがあると便利なんですけどね。
ここら辺の話はまた次回にでも。

(注)上ではテキスト情報と書いてますが、データベースから直接データを拾ってきているので、書式情報の取得も可能です。

フォントの種類、大きさ、色あたりまでは完全に再現できてますね。
Mac では、画像を埋め込んだ .rtf ファイルを表示できるアプリが普及していないため(テキストエディットで開こうとしてもできなかった)、画像の埋め込みまではやってませんが、理屈の上では可能です。
→ その後、画像表示などが容易な html ファイルに書き出せるように修正。
例えば、
という画面(のデータ)をデータベースレベルから抜いてきて html ファイルに再構成すると
ほぼ完璧に再現できていると思います。

 

(追記)なお、このソフトは、Save the DolphinS プロジェクトに発展しました。
我々が直接聞いた話ではないが、増田茂(増田ファクトという独自バージョンを作成していた医師)という人が「カルテ記載内容を取り出すのにこんなものは不要。getText で取ってこれる」という主張をしていたようです。
この主張は完全に間違ってます。
getText で取ってこれるのは JTextPane の(プレーンな)テキスト情報のみです。書式情報や、ましてや独自タグの位置や画像までは取ってこれません。
(→ あった。これだ。今はページ自体消したようですが)

また、「WildFly を経由せずに PostgreSQL 内にある dolphin データベースの情報は取ってこれない」のような主張もしていたようです。
これも完全に間違っています。
WildFly と連動していても PostgreSQL 自体は、特に変わりなく通常のサーバープロセスとして動作しているので、適切な接続情報があれば情報は取得できます。(プロセスの意味などを知っていれば間違えないような事柄です。医学部しか出ていない医師ですから、詳しくないのはしょうがないにしても、知らないことをさもその道の専門家のようにいうのは社会人としてどうなんでしょう?)
確かに OpenDolphin が稼働している状態で別のプログラムから情報を保存しようとすれば、スキーマが崩れてしまうことは考えられますが、ここで想定しているのはそんな状況ではありません。
OpenDolphin はもちろん、WildFly すら止まった状態で PostgreSQL から直接 dolphin データベース内に保存してある情報を取得できるかどうか?を(かなり真剣に)検討してわけです。
ユーザーさんの置かれた状況を考えたら、かなり不謹慎で常識のない人の言動のように思えますし、極めて遺憾です。
(上記プロジェクト一同)

(追記2)その後(事業がメドレーに譲渡されて以降)、増田茂はメドレー的には 「OpenDolphin への関与はほとんどない」ということになったようです。
なぜ、オープンソースのプロジェクトで contribution があったり、なくなったりするのかよくわからない部分もあるのですが、「LSC との契約上、著作権表記が与えられていたが、(事業譲渡に伴い契約が切れたため)メドレー的には貢献者としては取り扱わない」ということのようです。
そうだとすると、本来の意味での(コードを書いたという意味での)著作権を彼は有しておらず、契約上持っていたに過ぎない著作権表記権(かなり大雑把にいえば、こちらは金銭的に取得することはできます)に基づいて我々を批難していたということになります。
ちょっとひどい話ですね。

 


 

電子カルテからの患者データ吸い出し -open Dolphinを例に-

再開後、一本目の投稿となります。緊張するなあ。

今回は電子カルテの話。

電子カルテは大変便利なのですが、その実体が、「紙」という物理的な物質に人間が理解できる形で記録されているわけではなく、SSD やら HDD やらといった電子媒体に人間がそのままでは認識できない「情報」という形で保管されているがゆえに、時に問題が生じるときがあります。
ああ、言い回しが難しいか。

例えば、電子カルテシステムの運用が終わった後でも、カルテはその性質からいって一定期間保存(必要に応じて情報の取り出し)しておかねばならず、その期間のシステム形態をどうするかって話です。まさか、現役稼働時のシステムをそのまま維持するわけにもいかんでしょう?

ここらへんの話は、あまり話題にも登らないんですが、現実的には重要だったりします。

(追記)これはその後、厚労省のガイドラインでもかなり明確に言及されるようになりました。
「html などの視認性のいいファイル形式で一覧表示できるようなバックアップシステムを具備するように」という主旨のことが明記されています。
この後でお話しする OpenDolphin の 2.7 系列に関しては、OpenDolphin HTML/PDF Viewer というものがあります。