DICOM Viewer に segmentation 機能追加検討

CT 値(ハウンスフィールド値)が求まると面白いことができるようになる。

その一つは、画像上である程度まで組織を分離(segmentation という)できるようになることだ。

例えば、前回の画像で

CT 値 組織
-109 ~ -10 皮下組織
-9 ~ 24 表皮組織
25 ~ 229 筋組織
230 ~ 骨組織

と閾値処理すると↓のような感じになる。

大雑把にはいい線はいっているのだが、細かいところではダメダメである。

骨組織は文句なし、筋組織はまずまずといったところだが、致命的にダメなのは神経組織がまったく分離できないこと。

これは神経組織のCT値が 30~40 であり、筋組織と値が被ってしまうことによる。

かなり以前に行きがかり上この課題に取り組んだことがあるが、そのときはアルゴリズムを工夫することで、半自動的にセグメントできるようになった。

最近の研究結果はどんなもんだろうかと先ほどざっと調べたが、あまり決定的な仕事はなされていないようだ。

やはりあったかと思ったのは、deep learning の手法を用いて云々というもの。流行りなので手を出したい気持ちはわかるのだが、今ひとつピンとこない。この課題の延長線上には、当然、「計算機による画像診断」というかなり重要なテーマが控えているのだが、その際には、どうしても「診断根拠」というものが必要になってくる。現時点での deep learning 的手法は、判断の根拠といった部分の機構が上手く説明できていないような気がする。

もちろん、探索的に用いるのなら有効だろうが。(確か Alpha Go も新手の生成のときにしか deep learning を使っていないはずだ)

ともあれ、目的も成果もわかりやすいこの分野、みなさんもトライしてみてはいかがでしょう?

なお、Orthanc のメーリングリストでもこの話題が出たので、興味がある方はご一読を

 

猪股弘明(医師:精神保健指定医)
HorliX, OpenDolphin-2.7m: developer
Horos: contributor

C# で簡易 DICOM Viewer

いさんで DCMTK をコンパイルしたものの、 C# からは、当然、直接は使えない。

何か適当なツールがあるだろうくらいに考えていたのだが、ありそうでいて意外にない。GDCM というライブラリを使う手もあるらしいが、これはこれで一手間かかる。

やや困る。

面倒なのでライブラリなしで直接ダイコムファイルを読み込んで解析。(結局、こうなる‥‥)

それっぽくは書き出せたが、確かジーメンスは CT値に何か下駄をはかせていたはずで、コントラストがおかしい。

(追加)‥「下駄をはかす」というのは Rescale Intercept というらしい。(DICOM上の)データセットが必ずしも CT 値とは限らないため、

CT 値 = (生データの値) * Rescale Slope + Rescale Intercept

で、変換する。Tag は (0x28,0x1052)。この式に基づいて変換すると

と撮像・記録したときのコントラストで画像が再現できる。

よくわからなかったのは、Window Center & Width に値が二つ設定されていた点。40/700 と 200/3200 とであった。まあ、(40, 200) の設定でよいのだろうが、これがジーメンス固有のものであるかはちょっとわからない。

 

猪股弘明(精神科:精神保健指定医)
HorliX, OpenDolphin-2.7m : developer
Horos : contributor