かつてはかなり物議を醸していたECTであるが、日本では見た目の問題などどちらかというと情緒的な批判が多かったように思う。アメリカの場合、もっと踏み込んだ批判をする人々がいる。
Doctors of Deception: What They Don’t Want You to Know About Shock Treatment
この本は、実際に ECT 治療を受けた患者さんが書いたもので、アマゾンでの評価も高いようだ。実際、これまで素朴に疑問に思ってきたことをけっこう明らかにしてくれている。例えば
・世界的に Sackeim がこの業界の権威とされているが、医師免許を持っていない(元々は心理学者)。アメリカでは ECT だけ施行するとか可能なのかと思っていたが、やっぱりダメらしい。また、キャリアの初期に ECT のデバイスメーカーのコンサルタントをやっていたことも明らかにされている。著者はこういったことに対してはっきりと批判している。
・ ECT の研究が盛んな精神科(West Forest, Duke や Columbia など各大学)はメーカーから多額の寄付金を受けていること。また、(これは著者の憶測だと思うが)ネガティブなデータを隠す傾向があること。
などなど。
猪股弘明(松沢病院精神科)
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